INAXの中国市場への進出は2002年。TOTOや米国のコーラー社に比べてかなり遅い。中国の高級水回り製品の市場がすでに各大手メーカーに押さえられている中で、「新人」のINAXが中国市場で展開するのはそんなに容易なことではない。
日本市場の低迷で中国などの海外市場に力を入れるようになったINAXは、今は上海を中心に事業を展開している。北方でも販売はしているが、北京という大きな市場にはまだ参入していない。INAX中国の庵原総経理は「知名度が低いため北京への市場参入は難しく、準備が整ってから北京に進出するつもりだ」と話す。そんなINAXにとって来年の上海万博は、INAXという社名を広く知ってもらう絶好のチャンスである。
INAXが提供する日本産業館のトイレを、「日本産業館」の総合プロデューサーである堺屋太一代表は「世界一きれいだ」と言った。INAXにとってはこの言葉自体が最大のアピールになり、この賛辞に負けないようにINAXが相当の力を入れていることは間違いない。
今の段階でこの「世界一きれい」なトイレがどんなものなのかはまだ分からないが、INAXの得意な先端技術を使った便器が登場することは確かだ。中国には定価6万元以上もする高級便器を一気に5個も購入する客がいるそうだから、この広い中国でINAXの高級便器が富裕層に人気を集めるかもしれない。
上海万博のチャンスをうまく生かし、より多くの中国人に名前を知ってもらうことができれば、INAXの市場開拓の余地はまだまだあり、来年を予定している北京市場への進出もスムーズに進むのではないだろうか。
「チャイナネット」 2009年12月29日 |