「一期一会」
写真を撮影するために中国を行った時、東京でプロの写真家として働いていた秋山さんは42歳で、息子と娘をもつ二児父だった。
秋山さんは早稲田大学文学部を卒業後、AP通信と朝日新聞社写真部を経て、フリーの写真家になった。秋山さんの作品はニューヨーク近代美術館や東京都写真美術館、宮城県美術館、呉市立美術館などにも収蔵されている。
「『茶経』を読んでいた時に、『一期一会』という言葉を見た。日本語でもよく使われる言葉で、人との出会いは一生に一度で、大切にしなければならないという意味。中国で写真を撮るというのも『一期一会』で、貴重な機会を大切にして撮影しなければならないと思っていた」と秋山さん。
写真は秋山さん提供。
「僕は人を撮るのが好き。街で散歩している人や遊んでいる人など。子供なら、日本の子供であっても、世界のどこの国の子供であっても、未来を背負っている存在。だから真剣に向き合わなければならない。必ずしも子供のために何かをするというわけではないが、写真家として、子供の姿をしっかりと写真に収めたかった」と秋山さん。
秋山さんは、「今のデジタルカメラはあまり好きではない。デジタルカメラで写真を撮るのは簡単すぎて、撮った後すぐに結果を見ることができる。もし、気に入らなかったら、撮り直すこともできる。それは、僕にとっては絶対許せないことだ」と話す。
そして、「武士道では、勝ち負けに向き合わなければならず、やり直しはできない。僕たち写真家にも、やり直しはきかず、チャンスは1回だけだ。光の加減をしっかりと調整し、周りの状況を把握して、被写体の1度限りの表情を撮影しなければならない」とする。
「中国の子供達」には、中国の子供が「中日の子供の友誼に万歳」と書かれた横断幕を持った写真が収録されている。それは、1982年の春に、8歳の子供2人が、「中日友好」をPRするために自ら毛筆で書いた文字だという。
秋山さんが最後に中国に行ったのはもう36年も前のことで、テレビを通して今の中国を見るたびに、中国の発展の速さに驚いているという。
そんな秋山さんは6月1日に、「中国の子供達」の復刻版発表会に出席するために上海に行くことになっている。秋山さんは、「上海に行ったら、『これは何、あれは何』とびっくりすることばかりだろう」と笑いながら語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年6月4日