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デジタル決済の普及で街からATMが消える日が来る?
  ·   2019-07-18  ·  ソース:北京週報
タグ: デジタル決済;銀行;経済
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イギリスのあるコンサルティング会社が最近発表した研究報告によれば、2018年に世界のATMの台数は1%減った。世界全体でATMの台数が減少に転じたのは初めてのことで、その主な原因はデジタル決済の急速な発展にある。 

デジタル決済または電子決済と呼ばれるものは、コンピューターとインターネット技術の勃興に伴って生まれた決済手段で、初期の発展はネット銀行の決済業務を頼みとしていた。ここ数年来、スマートフォンの普及とフィンテックの発展に伴い、ますます多くの消費者がモバイル決済を使って商品やサービスを購入するようになり、ATMの使用頻度は大幅に減少した。 

デジタル決済のメリットはワンランク上の消費体験を提供しただけではない。家具会社のイケアがスウェーデン・イェヴレ市の支店で行ったテストは、1%に満たない顧客が現金を使用するだけでも、従業員は15%の業務時間を費やして現金を計算し、保管する必要が生じることを示している。推計によれば日本は現在、現金流通と管理コストで毎年約8兆円を費やしている。デジタル決済の使用はこのような面倒がいらず、社会の運営効率を大きく高めることができる。そのため、多くの国はデジタル決済に対する奨励政策を採用している。日本の経済産業省が昨年発表した「キャッシュレス・ビジョン」計画は、2027年にキャッシュレス決済の比率を40%に高める目標を打ち出した。また、シンガポールのリー・シェンロン首相は自国の関係機関に中国が先行するモバイル決済の経験を学ぶよう奨励した。 

デジタル決済の分野において、中国は先行する強みを持っている。モバイル決済だけでなく、蟻金融服務集団(アント・フィナンシャル)と騰(テンセント)は既に中国各地の小売端末機で顔認識スクリーンの設置を始めた。顔認証決済やモノのインターネット(IoT)決済などといった新テクノロジーの発展は、中国をさらなるキャッシュレス社会に向かわせる。フランスのキャップジェミニとパリ銀行が合同でまとめた関連報告は、2021年に中国のデジタル決済量が世界一になる見込みであると予測している。 

ATMは銀行が生み出したものだが、銀行はデジタル決済も広く奨励しているのは、銀行により多くの手数料収入をもたらし、支店やATMの維持コストを節約できるからだ。また一方で、ハイテク企業との競争において銀行はデジタル化への転換も積極的に図っており、自身の電子ウォレットやネット銀行などの機能の向上を通じて、携帯電話メーカーと協力して近距離無線通信(NFC)決済を生み出し、顧客の決済体験を向上させている 

このような大きな流れの中、ATMが徐々に使われなくなるのも不思議ではない。しかし、現在のような過渡期において、ATMの存在は未だに必要であり、とりわけ高齢者と外国人旅行者にとってはそのことが当てはまる。このほか、デジタル決済自身の不完全性も保障として従来からの決済システムを必要としている。多くの国の中央銀行は、もし商業金融機関にそれぞれデジタル決済システムを独自に掌握することを許せば、通貨システムに対する中央銀行のコントロール能力が脅かされると心配している。ひとたび大規模な停電が起きるか、もしくはハッカーによる攻撃に遭えば、デジタル決済への単一的な依存は大きなリスクをもたらす。 

貝殻、貴金属、紙幣、銀行カードなどといった形態の変遷を経た後、通貨はデジタル技術の変革を迎えている。もしかすると、いつかATMが貝殻や郵便ポストと同じように博物館に収蔵される日が本当に来るかもしれない。 

「北京週報日本語版」20197月18

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