中国は改革を全面的に深化させる新たな時代を迎え、地域の調和的発展の推進は新たな発展の動力源をめざましいスピードで育んでいる。長江デルタ地域は現在、世界第６位の都市群である上、人口規模の強みを有しており、中国経済が質の高い発展の段階に入るに従い、将来順位がさらに上がる可能性を秘めている。グローバル経済の発展過程、または中国の経済発展の動向からみても、地域協力は世の大勢といえる。

産業の一体化　絶え間なく加速する「共同体」構築

昨年以来、長江デルタ地域の質の高い一体化推進にともない、一つ一つの行政区に跨る「共同体」構築が絶え間なく加速している。２０１８年末、長江デルタ地域の一体化発展は国家戦略に格上げされた。同年１２月３０日には、計画面積１６.５平方キロメートルの中新嘉善現代産業園プロジェクトが正式に締結され、今年３月産業園は正式に産業計画を発表し、１５の特別事業計画はすべて審査が終わった。今年の５月１６日に平湖・嘉定・温州・昆山・太倉の共同発起による長江デルタ自動車産業イノベーション連盟が正式に成立し、テクノロジー企業のインキュベーターなど科学技術の成果を事業化する基地を共同で打ち立てることとなるだろう。

長江デルタ地域の一体化発展などの国家戦略を全力で推進するには、その発展過程における各地域の機能的位置づけを明確にし、自身が持つ資源と産業基盤に立脚し、地域の産業チェーンの重点となる発展部分をはっきりと定めて、産業チェーンの融合的発展を広げるべきだ。

グリーン一体化　生態保護の連携推進

グリーン一体化は長江デルタ地域の一体化発展の重要な構成部分だ。現在、グリーンな発展理念とグリーンな生活方式は長江デルタ地域で広く普及している。２０１８年上半期、長江経済ベルトにおける水質優良の水域の割合は７４％と、昨年より０.１ポイント向上しており、水質が劣Ⅴ類の比率は２.４％で、昨年に比べて０.６ポイントの改善がみられた。２０１８年１月から１２月までの間に、長江デルタ地域の４１都市でＰＭ２.５の平均濃度は１立方メートルあたり４４マイクログラムと前年比で１０.２％低下し、ＰＭ２.５の平均濃度が最も低かったのは舟山、温州、台州、黄山の４都市だった。

より質の高い長江デルタ地域の一体化プロセスの進展は、上海市・江蘇省・浙江省・安徽省の３省１市は汚染対策と生態建設を共同で推進することを必要としている。長江生態補償メカニズムと長江デルタ地域の政府間業務連携メカニズムを創設し、グリーン・リサイクル・低炭素の産業と企業の発展を導き、政策や資金、テクノロジーなどの面で相互協調・連結を強める。

交通の一体化  全方位に跨る立体的発展

長江デルタ地域の鉄道の相互接続は「長江デルタ地域一体化発展戦略」に積極的に呼応するものだ。２０１８年１２月末、「滬杭甬（上海・杭州・寧波）」は初の相互接続都市として、長江デルタ地域の交通一体化を推し進める上での基礎固めに成功している。江蘇省と安徽省の正式な加入にともない、長江デルタ地域の３省１市における交通一体化の新たな枠組みの輪郭が現れ始め、２０１８年度の長江デルタ地域の主要な指導幹部による座談会で審議ならびに原則同意が成された「長江デルタ地域一体化発展３年行動計画（２０１８～２０２０年）」は適切に実行に移され始めた。

現代的都市圏の建設による長江デルタ地域の質の高い一体化発展の推進は、本質的にセンター都市と圏内の他都市との間に競争と協力が並存し、互いに頼りとし、相互に影響を与える有機的な発展総体を形成するということだ。地域を跨ぎ区分の異なる道路のリンク、そして都市間鉄道交通網の構築を加速させることは、効率が良く便利な総合的・立体的交通網の構築にとってプラスとなるだろう。ハードからソフトまで、またインフラの接続からルールの連結まで、これは長江デルタ地域のより質の高い一体化にとって避けて通れない道なのだ。