「今回中国に帰ってきて、心配になりました。米国に戻ったら置いていかれてしまいそう」「米国行きを計画したのは５年前。でもやりたいことをやらせてもらえる環境とチャンスがあるなら、迷うことなく帰国します」――１０月１７日、ロイター通信は「海外で夢を追いつつも帰国を熱望する若い中国人女性」と題した記事で、努力の末に米国の就労ビザを手に入れた優秀な米国在住中国人女性の奮闘と心情の変化について報じた。そしてこの女性が実感した、ますます多くの分野で時代を切り開くようになった中国の勢いは、翌日の中国共産党第１９回全国代表大会（第１９回党大会）報告で最も注目された「中国の特色ある社会主義は新時代に入った」という論断を如実に説明するものとなった。 

確かにそうなのである。中国の核心指導層がこのような論断を下したのは、まさに世界経済体系における中国の地位の変化によるところが大きい。そしてまさに彼女のような国や文化を越えた経歴のある人がこの点を最も強く感じている。発展途上国でありながらも、中国は世界を大きくリードする世界一の製造業大国になったことで、「世界の工場」、世界一の輸出大国、世界経済の主要成長源、世界経済の安定器と呼ばれ、多くの国にとって自ら奮闘し発展を実現する手本となった。だからこそ、中国指導層は自信を持って「新時代の中国の特色ある社会主義」の到来を宣言することができたのであり、中国国民と外部世界はこの位置づけと宣言を唐突で信じられないものだと思うことなく、この新時代が自分自身に、そして多くの人にどんな新しい発展の機会と空間をもたらしてくれるかを熱心に討議しているのだ。そして第１９回党大会報告は何度も「新たな発展理念を堅持する。発展はわが国のあらゆる問題を解決する上での基盤・カギであり……」「いささかも揺るぐことなく発展を党の執政・興国の第一の重要任務とし」「社会的生産力の解放と発展は、社会主義の本質的要請である」と述べ、「経済のグローバル化のプロセスに積極的に参与し、それを推し進め、より高いレベルの開放型経済を発展させ、わが国の経済力と総合国力を不断に強化しなければならない」ことを示し、そして「新時代の中国の特色ある社会主義」が外部世界により多くの共同発展機会を提供し、さらに優秀な自ら奮闘し成功する手本となることも示唆している。 

工業化が中国の成功基盤を固めた 

世界経済体系における中国の地位は工業化の進展に基礎を置いている。第２次世界大戦後に植民地・半植民地状態を脱した新興国のほとんどは相次いで工業化を国家目標にしたが、今までのところ競争で頭角を現した国はわずかしかない。中国はその中でも優等生の名に恥じないほどずば抜けている。１０年近く前に早くも世界一の製造業大国となり、従来の労働集約型製造業の優位性が顕著である以外にも、設備製造業生産でも２０１３年には全世界の３分の１を占め、２位に立つドイツの２．５倍に相当する生産高に達した。しかも中国には産業カテゴリーが揃っている。中華人民共和国建国６０周年に当たる２００９年時点で、中国には３９の産業大分類、１９１の中分類、５２５の小分類があり、世界中で唯一、国連産業分類に列挙されている全産業カテゴリーが揃う国となった。それによって世界に並ぶもののない業界の揃った産業体系が形成され、中国は今や公認の「世界の工場」となった。 

戦国時代以降、清代初期まで２０００年余りにわたり、中国は一貫して製造業で世界トップの地位にあった。ローマ貴族は中国の絹織物にあこがれ、大航海時代以降にはヨーロッパ宮廷で中国の製品がもてはやされた。清代中期以降は立ち遅れたが、奮闘の結果、中国はかつて１０００年にわたって世界経済体系において占めていた地位をかなり回復してきている。 

中国の工業化が進展し、世界に並ぶもののない効率で世界の人々に製品を提供し、「中国製造（メイド・イン・チャイナ）」は世界の市場をカバーし、世界全体の福利レベルを極めて大きく高めた。「中国製造」が１９９０年代以降の米国の長期にわたる「インフレなき経済成長」で重要な作用を果たしたことは、世界の経済界で周知されている。さらに際立っているのは、「中国製造」が発展途上国の人々の生活を飛躍的に改善した点だ。