いったいどんな原因が株式市場の下落を招いたのか?原因は3つある。
1つ目は最近の大幅な人民元安である。特にオフショア市場では、人民元安がすさまじい勢いで進み、域内資本の流出が激しくなり、中国株式市場にとって資金面と心理面の打撃となった。資本の流出と対応するようにして中国の外貨準備が大幅に減少した。
2つ目としては、朝鮮の核実験、イランとサウジアラビアなどアラブ諸国の関係悪化、原油価格大幅下落という3つのマイナス要因が重なったことで国際金融がにわかに動揺し、それが国内市場に伝わった。
3つ目は投資家の1月の譲渡制限株式流通に対する懸念である。
もちろん、サーキットブレーカー制度は株式市場下落を招いた主因ではないが、1月4日と1月7日の下落を促進したことは確かだ。原因は2つある。1つには、圧倒的多数の投資家はサーキットブレーカー制度をあまりよく分かっておらず、変動幅が5%に達してサーキットブレーカーが発動された後、流動性といっそうの下落リスクを懸念して、取引再開後最初の反応が即売りになってしまい、さらに下落幅が7%に達して終日取引停止のサーキットブレーカーが発動される事態となった。2つ目は、サーキットブレーカー制度の「磁気吸引効果」だ。つまりサーキットブレーカーの発動値に近づくと、流動性を追求する売り手がコストを考慮せずに売り急ぎ、買い手のほうは取引を先延ばしにして、トレードオフの状態になり、サーキットブレーカーが通常の取引よりも速く発動されてしまった。
サーキットブレーカー制度は必要なのか?もちろんその必要はある。そうでなければ米国のような発達した市場がわざわざ面倒なサーキットブレーカー制度を設けたりしないだろう。しかしサーキットブレーカー制度は確かにその国の取引制度と適応したものでなければならない。米国のサーキットブレーカー制度は米国の株式市場に適応したものだ。例えば米国の市場は機関投資家が主で、ブルーチップ投資を重視し、株式の取引約定日当日に決済を行う「T+0」取引を行っている。一方、中国の株式市場では、取引約定日の翌日に決済する「T+1」取引が行われており、個人投資家が多く、初めて株式市場で取引する新米投資家が大量に存在し、キャッシュフロー情報に基づく価値評価を知っている投資家は数少ない。そのため集団心理に流されやすく、値が上がれば追いかけ、下がれば売り急ぐ。中国のサーキットブレーカー制度は中国の取引制度と適応したものにするべきだ。