また日本を例に挙げるが、日本で毎年出版される漫画雑誌や漫画本は、膨大な量に上る。書店からコンビニまで、駅構内のスタンドから露店まで、漫画は日本国民全体の読み物となったと言っても、決して誇張ではない。日本の至る所で、多くの人々に愛読されている漫画は、日本人の審美観に深く影響している。日本のアニメに導入されている「リミテッド・アニメーション」という技法は、簡略化された抽象的な動作を表現する手法であり、漫画の影響を受けたものだ。このような新しいアニメ形式は、ライト・ノベルの誕生と流行を生み出した。漫画を読みなれた読者は、ライト・ノベルの人物や背景をありありと思い浮かべることができる。漫画、アニメーション、ライト・ノベルといった産業チェーン川上・川下の各要素は、互いに影響を及ぼし合い、互いに成長を促し合い、三者は協力して力を出し、全方位に影響を拡大させてきた。また、これによりアニメのイメージが人々の心に深く浸透し、アニメ関連商品の大ヒットに結びついた。日本のアニメ漫画業の繁栄の背景には、漫画文化が初期に大きく発展し、成熟した読者が控える市場が確立したことがある。経済効果だけを指標としていたなら、日本のアニメ漫画業と日本文化の中での漫画の大きな役割は、陰に覆い隠されてしまっていただろう。
文化産業が他の産業と違うところは、市場に売り出す商品が、決して普遍性を備えたものだけではなく、商品という形の背後にある、思考・感情・観念・記憶などをも含み、蓄積された文化をクリエイティブに開発・転化したものであるという点だ。受け手の文化的背景に浸透するものでなければ、製品と市場の効果的な結びつきは実現し難い。
実は、中国のアニメ史にも、素晴らしい先例は少なくない。上海美影工場時代のアニメは、中国アニメのひとつの「黄金時代」を築いたといえ、何代もの人々に影響した。アニメに盛り込まれた様々な要素は、中国人の思考・感情・観念・記憶に深く浸みこむことで、観衆を魅了し、感動を与えた。同時に、アニメを受け入れる土壌が培われた。
業界の戦略配置における産業チェーン各要素の役割を理解するには、産業という枠から飛び出し、文化を育てる製品の本質的意義を考察する必要がある。この主張は、中国の文化産業にとって、重要な警鐘と言えるだろう。アニメを制作する力を備えたテレビ局、映画制作会社、アニメ漫画企業がますます増えるにつれ、制作班の知識的な背景や文化的訓練が狭まってくるようではいけない。経済収益だけを目標に発展を目指す一部企業は、頭を冷やして考えを改めるべきだ。文化は、単なる産業化経営の産物ではない。産業発展の環境や条件である文化は、正しい理解と尊重を得られなければならない。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年11月18日
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