文化的背景を土台とした業界の確立が必要
今世紀に入る前後から、英国、韓国、日本の各国は次々と、米国文化・工業による大きな影響や国内経済の疲弊に対応する目的で、文化クリエイティブ産業を国家発展戦略の重要項目に据えた。アニメ漫画産業は、その中でも特に核心プロジェクトとして位置づけられた。「期待の新星」である中国のアニメ漫画産業も、国情や市場環境と結合した発展の道を模索し、海外の成功事例を学ぶことに余念がない。だが、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」に関しては、今もなお議論の余地があり、「手本とする」ことに潜む「偏り」が、逆に、中国のアニメ漫画産業の発展の足かせとなっている恐れがある。人民日報が報じた。
「どのように参考とするか」は、「どのように理解しているか」によって決まる。今のところ、「海外の先例」に対する中国の理解は、「市場収益」という単一基準にしかフォーカスしておらず、これに制約を受けている。たとえば、日本のアニメ漫画業は、大きく分けて、「漫画」「アニメーション」「ゲーム」という3分野で構成されている。売上で見ると、ゲームは他の2つを大きくリードしており、漫画やアニメーションの数倍に達している。アニメーションは、関連するキャラクター商品から多額の収入が見込まれ、それなりの収益が期待できる。このうち最も冴えないのは漫画だ。売上だけで見ると、漫画は、アニメ漫画業という大きな業界の片隅にいる「老人」のような存在だ。高い技術レベルが要求される訳ではなく、収益も低い。このため、日本のゲーム、アニメ、関連商品の開発などの分野は、中国アニメ漫画業が重点的に学ぶべき対象となり、国産アニメ漫画の戦略配置にも多大な影響を及ぼしている。一部の企業はすでに、漫画ではなくアニメ漫画関連業務を、重点開発分野に組み入れている。言い換えれば、中国が実際に参考としているのは、日本アニメ漫画業で最も収益が多い部分に限られている。企業が収益を重視することは当然であり、それほど非難すべきことでもない。だが、産業の全体戦略から見ると、産業チェーンのいかなる要素も、単独で発展することは不可能であり、それぞれが発揮する効果は、産業チェーン全体の運行状況や市況と密接に関連している。単純に「利を追い求め損を避ける」考え方やそのような考え方から派生する水平方向のシフトは、実のところ、目まぐるしく成長する国際アニメ漫画業に内在する論理、特に文化に対する論理を軽視する振る舞いといえよう。
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