本誌記者 繆暁陽

広東省開平市青少年体育学校のコーチ、穆寧さん(繆暁陽撮影)
13日、大学生のEhsan Peighambari選手(イラン)が武術・男子長拳で銅メダルを取り、イラン代表チームに今大会初のメダルをもたらした。試合の後で開催された記者会見で、Ehsan選手が英語がしゃべれないため、彼のかわりに質問に答えたのは広東省開平市青少年体育学校の穆寧さんだった。穆寧さんはEhsan選手のコーチである。
「今、イランの青少年や成年の武術の套路競技選手は合計2万人余りに達する。中国と同じように、イランは各地で選手チームを育成している」と穆寧さんは語る。
2006年、穆寧さんは国家体育総局に選ばれてイランに派遣され、異国での武術伝授の道を歩み始めた。「ここ数年、中国武術の全世界への普及にに従い、国家体育総局も外国にコーチを絶えず派遣している。私は幸運なことにその一人に選ばれた。現在、イランにはほかに2人の散手競技のコーチがいる」と穆寧さんは語った。
イランでは言葉が通じないが、穆寧さんは寂しさは感じないという。武術が好きな多くのイランの青年たちが、穆寧さんの周りに集まってくるのだ。穆寧さんの指導のもとで、Ehsan選手ら青年選手がだんだん上達してきており、全体のレベルも大きく上がった。 中国人コーチによるイランの武術への影響について、穆寧さんは「散手競技の面で、イランはそれまでも実力が比較的に強かったが、中国人コーチが教えるようになった後、彼らの進歩は非常に速く、大型スポーツ大会でほぼ毎回上位3位に入れるようになった」と語る。
中国において、武術には豊かな文化の裏づけがあり、武術が国の精華とされているのは主にそのためである。非五輪種目が大会最初の競技種目となったのは、今までのアジア大会で比較的珍しいことである。主催側が中国武術を世界へ広め、五輪種目にするために心を砕いていることが容易に見て取れる。
穆寧さんは「4年前、国家体育総局が私たちを海外に派遣した目的は中国武術を広めることにある。広州アジア大会の武術種目に参加するチームの中で、ブルネイ、韓国、イラン、日本、マレーシアのコーチはみんな中国人だ」と語った。
武術は中国の伝統的な文化であり、中国の選手が絶対的な優位を持っている。武術の套路競技において、中国代表チームはずっと最高レベルにあるが、喜ばしいのは、女子太極拳などの種目で、マレーシア、シンガポール、日本などの選手が著しく進歩していることである。散手競技においては、イラン、カザフスタン、フィリピン、ベトナムなどの選手も優勝を勝ち取る実力を持っている。そして、中国香港、澳門も套路競技と散手競技のいくつかの種目でよい成績を収めている。穆寧さんは「競争相手を意識的に育成することによって、武術競技種目をアジアのその他の国と地域全体として発展させようとしているのだ」と語った。
「北京週報日本語版」2010年11月22日 |