本誌記者 唐元愷
2008年のオリンピックはすでに計画から実施段階へと入った。北京はまさに高速列車のように今、計画どおりの「定刻到着」を目指し、「オリンピックシティー」に向け着実に疾走しているところだ。
ほぼ毎年のように撮影に忙しい映画監督の張芸謀氏。今後も2年間は映画の仕事に携わることになる。もっと正確に言えば、「大型映画」の撮影を開始しようとしているところだ。上映時間はすでに決定ずみ。2年後の2008年8月8日の夜8時。
張氏は北京オリンピック組織委員会(「組織委員会」と略称)から第29回五輪の開幕式、閉幕式の総監督に抜擢された。張氏は2004年アテネ五輪の閉幕式で、長さ8分の「中国の部分」を監督。だが、中国人はそれを大きな名誉とは感じなかった。中国オリンピック委員会(COC)名誉主席の何振梁氏は香港鳳凰テレビ局のインタビューで、「ギリシア人による開・閉幕式に比べると、我々の『8分』は非常に見劣りし、差は頗る大きく、彼らには底の深さが見られるが、我々には厚みがなかった。中国の文化と文明、現代的な精神をもって表現すべきだが、これはそういうものではない」と直截に語った。何氏は1984年以来、夏季五輪は6回、冬季五輪は7回も開幕式に出席。何氏は、中国数千年の文明と文化的な奥深さを十二分にかつ独創的に表現するとともに、中国人のスポーツやオリンピック精神に対する理解をはっきりと体現すると同時に、濃密で強烈な現代的息吹を発しなければならないと考えており、そうするのはかなり難しいのは確かだが、そこに成功のカギがあるとして、「一般的に、大きな紅い提灯や京劇の隈取りといった“符号”で見栄を切ったとしても、それで解決できるものではない」と指摘している。
精彩に富んだ開幕式はオリンピックが半分成功したのに等しい、と言われるが、これは開幕式がオリンピックで象徴的かつ重要な一部であることを示すものだ。北京五輪のカウントダウンが始まった今、多くの中国人が何氏と同じような心配をしているが、大半はやはり期待のほうが大きい。中国共産党北京市委員会書記で、組織委員会主席の劉淇氏は「十数億の国内のテレビ視聴者、数十億の国外の視聴者を前に、開幕式は中国人が観て、紋切り型だと感じるものであってはならず、外国人が観て、中国の優れた文化が反映されていると感じるものでなければならない。我々の開幕式が、多くの人々が想像もしなかった創意工夫とクライマックスに富んだ、全世界の人々に永遠に記憶に残る瞬間を残すものになるのは間違いない」と強調している。
今年4月、95歳になる中国の国学者の季羨林氏、米国の映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏など、著名な専門家が組織委員会の顧問に招聘された。開・閉幕式の創意溢れる実施プランの募集は昨年の年初から始まった。応募件数は409件に達し、その中から特色のある優秀なプラン13件をすでに選定。現在、作業チームは昼夜兼行で採用プランの最終決定を急いでおり、開幕式については、年末までに完ぺきな実施・技術プランが決まる見通しだ。
北京は一貫して「特色のある、ハイレベル」なオリンピック開催を目標として明確に掲げてきた。開幕式はその重要な一部だ。劉主席によると、中国らしさ、名所旧跡、時代性、市民参加の4点で「特色」を発揮。競技・関連施設、開幕式・文化イベント、メディアサービス・世論の評価、セキュリティー対策、ボランティアサービス、交通・生活関連サービス、都市のイメージ、競技成績の8点で「ハイレベル」を目指すという。
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