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アテネで“神話”を創造できるか

本誌記者 唐元愷

多くの中国人にとってアテネは“神話”を意味しており、故事「トロイの木馬」は中国でも広く知れわたっている。悠久の中国も神話にはこと欠かない。間もなく開幕する第28アテネオリンピックで、中国人は新たな“神話”の創造を渇望している。

◇陸上競技:ハードルを越えられるか

アテネで中国人が最も注目する“神話の人物”が、21歳の劉翔選手。男子100mハードルの世界青年記録保持者で、現在のところ、オリンピックと世界選手権の覇者である米国のジョンソン選手に敗北を味あわせた唯一の選手だ。5月初めに大阪で開かれた世界陸上選手権の第1戦で13秒06の今年世界最高をマークし、初めてジョンソン選手に打ち勝った。

オリンピックの陸上は従来から中国の苦手な競技だった。1992年のバルセロナ以降の大会で毎回、金メダルを獲得してはいるものの、いずれも1個。中国人は陸上競技では先天的な力不足で、外国選手に打ち勝つことはできない、というのが大方の見方だ。そのため、劉翔選手がこの距離を短縮できる“エンジン”になれるかどうか。「アテネでは、ジョンソン選手を負かすことを含めて、不可能なことは何もない。金メダルを取る!」と劉翔選手。

だが、陸上チームの馮樹勇監督は「全体的な実力からすれば、劉翔選手とジョンソン選手との間にはある程度差がある。特に心理的なもの、試合の経験、試合に臨む姿勢では劣っている。だが、彼は前向きだし、瞬発力があり、特に若いのが強みで、トレーニングの状況も良好だ。コーチ陣は彼に大きなプレッシャーをかけないようにしており、科学的で厳格なトレーニングを通じて、アテネでは最良の状態で臨ませたいと考えている。13秒00の記録を目指すが、この成績が出せれば上位入賞は問題ない」と話している。

更に馮監督は「金メダルを確保できる十分な実力がある、と言える種目は現在のところまだないが、理論上から言えば、アテネで継続して金メダルを狙えるチャンスはある。チームは8位以内に入るか、あるいは決勝に進む選手はシドニー大会を上回ることには大きな自信を持っている。全体的な実力は大きく向上した」と強調。

最近の成績などを総合分析すると、メダルを狙える実力を備えているのは7種目。劉翔選手の100mハードルのほか、女子ハンマー投げの張文秀選手と顧原選手、女子5000mと1万mの孫英傑選手に秦慧娜選手、競歩で比較的強いのが女子20キロ、男子の50キロと20キロだ。

上記種目以外に、男女の三段跳び、女子の走り幅跳びに砲丸投げ、円盤投げ、槍投げ、男子十種競技などは8位以内が期待できる。ただ、これらの種目では劉翔選手のような成績が突出した主力選手はいない。

懸念されるのは、1992年以降のオリンピックではいずれも金メダル1個しか獲得しておらず、果たしてこのハードルを越えられるかどうかだ。

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