「誰にも手が出ないほどの料金にならない限り、価格高騰は正常なことで、そうした事態にならない限り政府が過度に口をはさむ必要はない」と秦宇主任は言う。北京市旅游局の関係者は名前を出さないことを条件に、「観光、宿泊などの市場はすでに開放され、経営者が市場の状況をみて自らの裁量で価格を決めている。こうしたホテルの料金に対し、旅游局は干渉する権利がない」と話してくれた。
北京第二外国語学院旅游管理学院科学研究処処長の戴斌教授は、北京の客室の需給バランスはとれており、客室価格が際限なく高騰する可能性はないと見ていて「最近5回の大会から見ても、客室価格が4~5倍に跳ね上がるのは正常なこと」と言う。
しかし、ホテル業界の専門家は、北京はアテネの二の舞は避けるべきだと指摘する。04年のアテネの五輪大会は成功したものの、五輪期間中のホテル料金の常識外れな暴騰は多くの旅行客が恐ろしくなるほどで、五輪期間中の観客や観光客数がそれまでの大会に比べ減少するという結果を招き、観光業は五輪による恩恵を受けることができなかった。これに対し、中国国家旅游局のホテル管理処の関係者は「政府の料金制限にのみに頼るのでなく、北京市の4000近い星なし施設の設備とサービスを改善することで、その一部を星付きの基準に引き上げることが最良の解決方法だ」と話す。
しかし、星なしホテルの現状もまた軽視できない。これらの旅館の質を実質的に変え、五輪に向けた接待機能をより効果的に発揮させるため、北京市は今年8月に「宿泊サービスの質の基準・評価認定」を決め実施している。そしてこのなかで旅館の安全性、衛生およびサービスなどの項目について基準を守るよう求めている。周処長によると、旅館の全体的なサービスレベルは急ピッチで向上しているという。現在、すでに200あまりの星なし施設のサービス基準が五輪時の接待基準に達した。来年前半までには1000施設で基準達成を図るとともに、800件の星付きホテルも含め、ともに五輪の宿泊施設として推薦するつもりだという。
「北京週報日本語版」 2007年11月23日 |