車両の中は随所に細かな心配りが見られる。たとえば識別しやすい安全表示、3方向から掴むことのできる握り棒、ゴムの滑り止め加工が施された車両の床板などだ。新しい地下鉄のレールはすべてシームレス技術を取り入れているため、これまでの地下鉄のようにカンカンという音が響き渡ることはなく、運転中はきわめて静かで騒音は明らかに減少した。
これまでの1、2号線では、列車がトンネルに入ると携帯電話を使えないことがあった。この点が改善され、5号線は施工段階から送受信機の設置を考慮し、信号をすべてカバーできるようになった。実際に5号線に乗って体験してみたが、プラットホームに入っても走行中も非常に順調に電話をかけることができた。
五輪前にさらに多くの路線が開通予定
5号線の開通にともない北京の地下鉄はすでに5路線となり、08年の北京五輪までには10号線とオリンピック線、空港線の3路線が次々に営業を始める予定だ。
10号線は政府の重点建設プロジェクトの1つで、03年12月27日に着工し、全長は24.55キロで22駅。主な停車駅は蘇州街、知春路、芍薬居、亮馬河、国貿、勁松など。10号線は現在なお建設中で五輪開幕前には全面開通する予定だ。これが完成すると北京の東部地区、とりわけ将来の商業中心区(CBD)一帯の交通渋滞が緩和すると期待されている。
空港線は北京中心部と首都機場空港を結ぶ路線で、08年の五輪開幕前に全線開通する予定。全長28.5キロで東直門を起点に、2号線、13号線と乗り入れ、途中につくられる三元橋駅で建設中の10号線とも乗り入れる予定だ。空港線は時速100キロで東直門から空港までを15~17分で走行。オリンピック期間中に見込まれる各国からの大量の報道関係者や旅客にとって、空港からの交通渋滞緩和に効果を発揮すると期待されている。
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