(九)民生の保障・改善に力を入れ、都市・農村住民の生活水準をいっそう向上させる。(1)雇用創出を優先させる戦略を実施する。雇用吸収力が強い労働集約型産業や中小企業、革新型科学技術企業およびサービス業の発展に力を入れる。大卒者や農民工、都市部就職困難者などを中心に、就職・起業を目指すものへのサービスや、職業訓練を強化し、技能をもった人材を数多く育成し、自力創業に努めるものへの支援策を実施する。統一し、規範化した、柔軟性のある人的資源市場を築き上げ、末端における就業サービス体系の整備を推進する。労使関係の協調を図る仕組みを充実させる。(2) 社会保障システムを充実させる。社会保険プールをより高い次元で展開し、その待遇水準を向上させ、都市・農村の生活保護と社会優遇扶助の対象となるものへの補助基準を引き上げる。事業体の養老保険制度の改革と、重大または特大疾患医療救済の試行作業を積極的かつ適切に推し進める。社会保障関連の公共サービス能力の開発を強化する。高齢者事業を鋭意発展させ、社会高齢者福祉サービス体系の整備を加速させ、障害者向けのリハビリ・介護施設および労災リハビリ・センターの整備を支援する。都市部住民基本医療保険と新しいタイプの農村合作医療への財政補助基準を年間一人当たり二四〇元に引き上げる。二〇一二年度は、新しいタイプの農村社会養老保険・都市部住民社会養老保険制度を全国で導入し、都市部の基本養老保険、基本医療保険、失業保険、労災保険および新しいタイプの農村社会養老保険など諸保険の加入者数はそれぞれ五・四%、一・五%、二・五%、四・六%、一〇・三%伸びる見込みである。また障害者サービス施設は五・六%増の三四一〇ヵ所、高齢者一〇〇〇人当たりの養老施設ベッド数は一〇%増の二二・一床に達する見通しである。(3)保障タイプ住居プロジェクトの建設を着実に推し進める。保障タイプ住宅建設の事前作業を加速し、用地の供給を確実に保障し、財政・融資面からの支援を強化し、民間資本が保障タイプ住宅とその関連施設の建設に参入することを奨励し、保障タイプ住居プロジェクトの投融資・建設・運営・配分・管理の仕組みを整備し、品質の安全性と公平かつ公正な分配を確保する。バラック地区の環境改善や、農村と国有農地開墾地域・林業地域の老朽家屋の改修、遊牧民定住プロジェクトの建設を速める。保障タイプ住居プロジェクトに充てる中央予算枠内の投資を六九〇億元とし、前年度より一〇〇億元増やす。(4)不動産市場へのコントロールによる成果を定着させ、拡大する。投機的・投資的性格を帯びる需要を規制する政策措置を引き続き厳しく実施するとともに、それを逐次健全化する一方、不動産価格に対する監督管理施策を改善し、中小型・中低価格の一般商品化住宅の建設を奨励・サポートすることにより、住宅価格が合理的なものに立ち戻るよう促す。不動産市場の健全な発展に資する長期的かつ効果のある仕組みを早急に検討し、完備させる。
(十)社会建設を全面的に強化し、公共サービスの能力とレベルを向上させる。(1) 教育事業の改革と発展を速める。教育への投入をさらに増やす。今年度の国家財政による教育費支出は対GDP比四%に達し、教育に振り向ける中央予算枠内の投資の割合は七%前後となる。義務教育の資源を中・西部地区、農村、辺境地区、民族地区および都市部の恵まれない学校へ傾け、義務教育の普及で収めた成果を定着させ、引き続き小中学校の校舎安全プロジェクトを実施し、義務教育段階の学校の標準化整備を推進し、寄宿制学校の合理的な配置・建設を図り、生活環境が厳しい僻地の農村の学校に勤務する教師専用の短期職員寮の整備を強化する。スクール・バス管理制度を確立し、健全化する。義務教育を受けている農村児童・生徒の学校での栄養摂取を保障する長期的で効果的な仕組みを構築し、整備する。職業教育の基礎能力を向上させ、教育基礎が手薄な民族地区の県における一般高校の運営条件を改善する。農村で就学前教育の発展を推進する。特殊教育システムを完備させる。多数の生活困窮者が集中する特別困難な地域において貧困扶助教育プログラムを実施する。中・西部地区の大学の運営条件の改善をサポートする。教育情報化の建設を推進する。二〇一二年度の九年制義務教育保持率は九一・八%、高校段階の粗進学率は八五%に達する見通しで、一般大学の学生六八五万人、大学院生五八万四〇〇〇人を募集する予定である。(2) 医療サービスと公衆衛生サービス体系を充実させる。医療衛生面の応急対策と重大疾患の予防・抑制対策を強化する。児童医療サービス体系、重大疾患の予防・抑制体系、末端医療・衛生サービス体系の整備をいち早く推進し、基本的公衆衛生と重要な公衆衛生サービス・プロジェクトを実施する。引き続き人口と計画出産関係のサービス機構の整備を推進し、農村女性向けの子宮頚ガン・乳ガンの無料検診の適用範囲を広げ、妊娠前の健康診断無料化の試行範囲を六〇%の県(市、区)にまで拡大する。二〇一二年度は、医療衛生事業の発展の支援に中央予算枠内の投資を二三〇億元計上して、一〇〇〇人当たりの病院・郷鎮診療所のベッド数は三・七二床に達し、六%伸び、一万人当たりの全科医師数は〇・八九人に達すると見込まれる。(3) 社会主義文化を大いに発展・繁栄させるよう促す。社会主義の中核的価値体系の整備を推進する。文化体制の改革を深化させる。公益的文化事業の発展に力を入れ、都市・農村をカバーする公共文化サービス体系を充実させる。引き続き文化情報資源の共有プロジェクト、村々へのラジオ・テレビ普及プロジェクトなど重点的な文化利民プロジェクトを実施する。地区・市レベルの図書館、文化館、博物館の建設をスタートさせる。各種の文化遺産・自然遺産の保護を強化する。哲学・社会科学を発展・繁栄させる。報道・出版、ラジオ・テレビ、文学・芸術などの事業を鋭意発展させる。二〇一二年度は、ラジオ・テレビ放送の人口カバー率がそれぞれ九七・二六%、九七・九二%に達する見通しである。文化産業の構造調整と科学技術イノベーションを推進し、優れた伝統的な中華文化を大いに高揚する。一群の重要な文化産業プロジェクトを実施し、伝統的文化産業を大きく発展させ、新しい文化業態の創出を急ぎ、文化産業が他の産業と連携して発展することを促進する。公共スポーツのサービス体系を充実させ、大衆スポーツのレベルを向上させる。(4)社会管理の強化と革新に努める。国の基本的公共サービス体系の計画を作成・実施し、都市・農村のコミュニティーを中核とする末端の社会管理サービスプラットフォームの整備を強化し、公共サービス情報と社会管理情報の共有を促す。社会信用体系の整備を推進する。社会組織の発展を誘導し、規範化させる。総合的防災・減災体系を充実させる。社会発展の情勢と潜在的なリスクへの評価と動態モニタリングを強化し、大衆の合法的・合理的な訴えを適切に解決し、社会治安や安全生産、食品・医薬品安全の監督と応急管理などの作業にしっかり取り組み、社会の調和と安定を維持する。
引き続き大陸部と香港、澳門二特別行政区の間の経済・貿易、科学技術、教育、文化、医療衛生、スポーツなど諸分野における交流と提携を強化し、経済・貿易緊密化協定(CEPA)とその補完協定に盛り込まれた諸優遇政策措置を実行に移す。香港の国際金融、貿易、海上輸送センターとしての地位を打ち固め、引き上げることをバックアップし、大陸部と香港との間のインフラ分野の協力を強化する。澳門が世界的な観光・リゾート地をつくり、適度に多元化した経済発展を遂げるようサポートする。海峡両岸の経済・文化協力と交流を深め、絶えず両岸間の経済・貿易協力と産業協力のレベルアップを図り、海峡西岸経済区が両岸間の交流と提携において、先駆的かつ試験的な役割を果たすことをサポートする。
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