中国国務院が2011年11月21日に改正版「女職工特殊労働保護条例(意見請求稿)」を発表して社会各界に広く意見を求めた後、出産育児休暇が再び人々の話題の的となった。同条例改正の最大の焦点は、産休を90日から14週間に延長することや流産した場合の産休に関し、さまざまな規定が打ち出されたことにある。働く女性の待遇向上について人々が大きな声を挙げて主張するなか、全国人民代表大会(全人代)代表を務める浙江工業大学経貿管理学院の程恵芳教授は、「夫の出産休暇の立法化」を再び呼びかけている。中国新聞社のウェブサイト「中新網」が伝えた。
程教授によると、同教授が全人代代表として初めて全人大に提案したのは、「夫の有給出産休暇制度設立に関する提案」という。程教授は、「この提案がメディアによって公表されると、社会に大きな波紋が広がりました。浙江省では、従業員の福利厚生のひとつとして、すでに実施している企業もあります。出産を終えた全ての女性が、産後1カ月の非常に大切で幸せな期間を、夫に付き添われて過ごすことができるよう、国家が夫の有給出産休暇制度を立法化するよう強く希望しています」と話した。
妻が出産後1カ月間、夫も出産休暇を取得できる制度は、すでに一部国家で実施されている。スウェーデン、フランス、英国、日本、チェコなど40カ国以上では、夫の「出産・育児休暇」が認められている。期間は少なくても十数日、多い場合は数十日、なかには数カ月取得できる国もある。しかし、中国の出産・育児関連規定は今のところ、すべて母親である女性を対象としたもので、男性の「出産・育児休暇」に関する法律はまだ存在しない。
「産後、特に産後1カ月間のヘルパーの報酬はウナギ登りで、特に沿岸都市では月給6千元(約7万5千円)から1万元(約12万5千円)に跳ね上がっています。地方から都市に出てきて必死で働く若夫婦には、産後ヘルパーを雇う余裕などありません。夫が出産有給休暇を取得できるなら、産後の妻の世話にあたり、かつ、夫婦間の絆を強めることもできます」。程教授は、夫の出産育児休暇制度は、さまざまな効果をもたらすことから、国家は制度化に向け支持すべきだと強調した。
程教授の提案は、多くの女性の声を代弁している。多くのサイトやフォーラムは、産休の90日から14週間への延長に関することや増えた8日間をどのように使うかという話題で盛り上がった。産休は90日のままでも良いので、その代わりに8日間を自分の夫が取得できるようになればと願う女性が多い。男性の側からも、有給休暇で家族の面倒を見たいという強い希望が挙がった。
「春節(旧正月)後、産後ヘルパーは引っ張りだこです。特に『龍年ベビー』の出産ラッシュで、産後ヘルパーの報酬はウナギ登り状態、月給1万元以上のケースもあります。産後ヘルパーに来てもらうなど、到底不可能です」。このように語る張誠氏は、杭州の外資企業に勤めるホワイトカラーだが、「高値」の産後ヘルパーにはとうてい手が届かず、自分自身で妻の面倒を見ることができるようになればと期待している。
専門家は、「夫が産休を取得できれば、産後の妻の面倒を見ることができるだけではなく、新しい家族となった赤ん坊の知力の発達にも大きな利益がある。父親が話す言葉や息遣いは全て、新生児に情報として伝わり、赤ちゃんの感受性の発達や、その後の強い人格形成に極めて有効だ」と指摘している。
程教授は、「国家は、『和諧社会(調和のとれた社会)』を提唱していますが、家庭の調和が取れて初めて、社会の調和が実現するのです」と訴えた。(編集KM)
「人民網日本語版」2012年3月12日
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