全国政治協商会議(全国政協)委員を務める香港医管局の胡定旭主席は4日、香港で出産する大陸部の妊婦の数は年々増加し、香港の年間出生数は10万の大台に近づいている。香港現地妊婦の権益とお産の質を保障する目的で、香港で出産する大陸部妊婦の数を年間3万5千人前後に規制する計画だ」と明かした。京華時報が伝えた。
胡主席によると、香港における2009年新規増加人口8万2千人のうち、大陸部妊婦が香港で出産した新生児は3万7千人に上るという。2010年の香港の新生児9万5千人のうち、大陸部妊婦が産んだ赤ちゃんは4万4千人。この2年で香港生まれの大陸部新生児は7千人増え、全体に占める割合はさらに高い。
2011年に香港で産まれた大陸部新生児4万4千人のうち、3万3千人は私立病院で、1万1千人は公立病院で生まれた。大陸部妊婦の香港出産ブームが高まりを見せるなか、胡主席は、「この傾向は、医療従事者の負担を重くするだけではなく、新生児一人一人の出産サービスや生産安全に対する保障が行き届かない原因ともなり得る。また、私立病院で出産を希望する香港に住む妊婦がベッドの予約を取れない状況も生み出す。これは、香港の妊婦に対する一種の権益侵害と言われても仕方が無い」と指摘した。
胡主席は、「香港の私立病院は出産費用が高い大陸部妊婦を受け入れたがるため、香港現地妊婦にとってはたまらない」と続けた。2009年に香港の私立病院で誕生した新生児4万1千人のうち2万7千人は大陸部妊婦の赤ちゃんで、全体の65.8%を占めたという。2011年にはこの割合は67%に達した。つまり、私立病院で産まれた新生児4万9千人のうち、3万3千人は、地元妊婦が産んだ赤ちゃんではないという計算になるという。大陸部妊婦が香港出産で選ぶ出産施設のトップが私立病院という現状に対し、胡主席は、「私立病院は、香港特区政府医管局の管轄範囲外だが、政府は私立病院と協議した結果、香港の私立病院で大陸部妊婦の出産を受け入れる数を今年は3万1千人以下とする取り決めを定めた。また、公立病院による大陸部妊婦の受け入れ数は、4千人のラインを上回ることがないようにする」とコメントした。
大陸部妊婦が香港で出産するための仲介手数料が高いこと以外に、大陸部妊婦の「救急室への駆け込み出産」現象も、香港政府の注目を引いた。2010年に香港の病院救急室で出産した大陸部妊婦は361人だったが、この数は3倍近くに膨れ上がり、2011年には1200人あまりに達した。胡主席は、このような出産は、生まれて来る子供の身体的安全を脅かすだけではなく、医療従事者に極めて大きな負担をもたらす」と指摘した。
香港で出産する大陸部妊婦の数を制限する措置は、決して大陸部妊婦を排斥することを目的としているわけではない。胡主席は「香港には1万2千人しかドクターがいない上、医学生の研修期間は8年の長きに及び、現役の医師はつかの間の休息をとる暇すらない」と医療現場の現状を説明。「出産ブームが続いているのは好ましいことだが、その前に、香港統一試験に合格した医療関係者の育成・充足に力を入れる必要がある」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2012年3月5日
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