中国の地方各レベルの人民代表大会(地方議会に相当)がこのほど閉幕し、全国31省・直轄市・自治区の昨年の域内総生産(GDP)が全て発表された。各地のGDPは高成長を続け、全体の3分の2に当たる23省・市・区が1兆元(約12兆5千億円)を超えた。各地の政府活動報告に掲げられた今年のGDP成長目標は、北京市や上海市、広東省など一部の省・市は下方修正したが、大部分の地域は依然10%以上に設定しており、東部地域と西部地域で明らかな差異がみられる。中国国営の通信社、中国新聞社(電子晩)が伝えた。
▽広東省、なお全国をリード 6省・区が新たに1兆元突破
31省・市・区のうち、経済が発達した広東省は昨年、GDPが5兆3千億元(約63兆6千億円)に達し、中国で初めて5兆元の大台を突破、引き続け全国をリードしている。この後には、江蘇省と山東省が続いた。
昨年、2兆元(約25兆円)、1兆元を超えた省・市・区はいずれも増加した。天津市、重慶市、吉林省、山西省、江西省、広西ウイグル自治区の6市・区が新たに「1兆元クラブ」の仲間入りを果たした。現在、中国でGDPが1兆元を超えるのは計23省・市・区に上る。
統計によると、西部地域の成長率が東部地域を明らかに上回っている。天津市と重慶市が16.4%で同率首位。地域別では、中西部地域が依然として著しい成長をみせており、うち貴州省と四川省はいずれも15%に達している。一方、上海や北京などの大都市は全国平均を下回った。
エコノミストの曹和平氏(北京大学教授)は多くの省・市・区で成長が鈍化したことについて、全てのケースを同一視して結論付けることはできないと指摘。「経済が発展した北京市、上海市、浙江省の3地は成長率が1けたに転じているが、中西部地域の成長はなお速い」と語る。
曹氏は「過去のGDP成長と今後のGDP成長が持つ意味合いの区別がすでに出来ている。中国はすでにGDP偏重を見直す転換期に入っている」と分析した。
北京と上海の1人当たりGDPが中進国の水準に近づいているとの報道について、曹氏は、両市では政策の重点を国民生活や調和の取れた発展に移し、ほかの地域の発展の手本とすると説明。一部の高所得者層によって引き上げられた「統計上の平均値」ではなく、所得水準の底上げに取り組み、一人当たりのGDPを実質的な数値にすることを重要課題として挙げた。
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