「第十一次五ヵ年計画」期の政府活動を振り返って、われわれは次のいくつかの面で認識をいっそう深めた。
⒈ あくまでも科学的発展を堅持すること。われわれがさまざまな厳しい試練を乗り越えてきたのはひとえに科学的発展によるものだからである。各分野で収めた成果や進歩はすべて科学的発展のたまものである。そして前進途上における困難や問題を解決するにも、依然として科学的発展に頼らなければならない。わが国は今なお、しかも今後長期にわたって社会主義の初期段階にあるため、あくまで経済建設を中心とし、科学的発展をしっかり堅持していかなければならない。人間本位を旨として、民生の保障と改善をあらゆる活動の出発点もしくは立脚点とし、ともに豊かになる道を揺るぐことなく歩み、発展の成果が全人民にメリットをもたらすようにする。また、統一した計画の下で各方面に配慮することを堅持して、都市と農村、地域および経済・社会のバランスの取れた発展を促進する。経済の発展パターンの転換を速め、自主イノベーションを力強く推進するとともに、資源の節約と環境保護に取り組み、経済・社会の発展と人口や資源、環境との調和を実現し、発展の全面性、調和性と持続可能性を高めなければならない。
⒉ あくまで政府によるコントロールと市場メカニズムの有機的な統合を堅持すること。健全な市場メカニズムも効果的なマクロコントロールもともに社会主義市場経済体制に欠かせない重要な構成部分である。市場の役割と政府の役割のどちらをより多く発揮させるのか、時機を見て決めるべきである。国際金融危機の衝撃に対応する中で、われわれはマクロコントロールを強化、改善することにより、いち早く市場のゆがみを是正し、市場の機能マヒを補完し、景気の大きなぶれが生じないように抑止してきた。これはまったく正しいものであると実践によって裏付けられている。われわれは社会主義市場経済体制を絶えず充実させ、資源配分における市場の基礎的役割を十分に発揮させ、経済の内的活力を引き出す一方、マクロコントロールの手段を科学的に活用し、長期にわたって安定した、より速い経済の発展を促していかなければならない。
⒊ あくまで国内と国際面の二つの大局を総合的に考慮すること。経済のグローバル化のさらなる進展と対外開放の絶えざる深化を踏まえ、わが国の経済と世界経済とのつながりがいっそう密接となり、両者の相互作用と相互依存の関係が絶えず強まりつつある。そのため、グローバルな視点を養い、戦略的な思考を強め、国際情勢の発展や変化に応じて発展のチャンスをしっかり捉え、リスクや試練に確実に対応するとともに、海外と国内・二つの市場と資源をうまく活用し、国内での発展と対外開放の関係を上手に処理して、内需と外需を兼ね合い、バランスの取れた発展を成し遂げなければならない。
⒋ あくまでも改革開放を経済・社会の発展のための根本的な原動力とすること。改革開放は国の隆盛と人民の幸福を実現する上でどうしても通らなければならない道であり、それを社会主義現代化建設の全過程に貫かなければならない。そこでわれわれはさらなる決意と勇気を持って改革を推し進め、改革に関わる政策決定の科学性を高め、改革措置の整合性を強める。また、経済や政治、文化、社会など諸方面の改革と創造・革新を全面的に推進するとともに、体制と仕組みの面での障害を抜本的に取り除き、生産力を最大限に解放し、発展させ、社会の公平と正義を促していく。そして、あくまで人民の生活の改善を改革・発展・安定の相互関係を正しく処理する上での接点に据えるとともに、改革への取り組みの度合い、発展の速度と社会の許容度を統一的に勘案し、改革によって調和と安定を促進し、人民が安心して暮らしながら生業に励み、社会が平穏で秩序整然となり、国も長期にわたって安定するように確実に保証しなければならない。
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