(三)農業の基礎的地位を固め、強化する
あくまで「三農」の取り組みを最重要課題と位置づけ、工業化、小都市化の進展にあわせて農業の現代化を推進し、農業・農村の好ましい情勢を確固たるものにし、発展させる。 農産物の供給を確保し、多角的ルートを通じて農民の収入増加を図る。食糧の安全を保障することを最優先の目標として、農業生産にねばり強く取り組む。穀物の栽培面積の安定化に努め、優位生産地区が綿花、搾油作物、製糖作物などの大口商品を生産するのをサポートする。牧畜業、漁業、林業を大いに発展させる。次期「買物かご」プロジェクトの推進に力を入れ、大・中都市の郊外地域は、基本的な野菜畑面積と生鮮食品の供給能力を備える必要がある。農業に対する科学技術面のサポートを強化し、農作物の種子事業を大きく発展させ、「高収穫」事業を大掛かりに展開する。引き続き食糧の最低買付価格政策を実施し、今年は小麦、水稲五〇キロ当たりの最低買付価格をそれぞれ五~七元、九~二三元引き上げることにする。農村の非農産業を大いに発展させ、県域経済の体質強化を図り、農民の職業技能や、起業・収入源拡大の能力を高め、農民がその地域または近くの地域で非農業部門への就業転換を果たすよう促進する。貧困脱却扶助の基準を引き上げ、貧困脱却の扶助をめざす開発事業にいっそう力を入れる。 水利建設を大々的に進め、農業・農村のインフラ整備を全面的に強化する。重点的には、農地の水利施設や中小河川の整備、小型ダムと老朽化した水門の補強、土石流など地質災害の対策に取り組む。排水・灌漑施設を整備し、節水灌漑を増やし、河川の堤防を補強し、浚渫(しゅんせつ)をしっかりと行い、ダムの潜在的脅威をなくし、洪水調節容量を大きくする。数年かけてこうした努力をして水害・干ばつ対応と防災・減災の能力の全面的な向上をめざす。農村の土地の開発・整理を大きく推進し、干ばつ・水害に対応した高基準農地を大規模に建設し、全国の食糧生産能力を五〇〇〇万トン新規増加する事業のテンポを速める。農村における用水・電気・道路・メタンガス・住宅の整備を強め、農村の生産、生活条件を大きく改善し、農民のためのすばらしい故郷づくりに努める。
「三農」への投入を増やし、それに関する強化策、優遇策を充実させる。財政支出は重点的に農業・農村へシフトし、農業・農村に充てた金額は総量・増量とも増えるように確保する。予算内固定資産の投資は重点的に農業・農村のインフラ整備に使い、総量・割合ともに増えるように確実に保証する。土地の譲渡による収益は重点的に農地の開発や、農地の水利と農村のインフラ整備に振り向け、それが全額交付され、決まった分野に必ず使われるように保証する。今年度、中央財政は「三農」への投入資金として、前年度より一三〇四億八〇〇〇万元増の九八八四億五〇〇〇万元を計上することになる。農民向けの生産補助枠を引き続き拡大し、新規増加の補助金は重点的に、主要生産地区や重点品種、大規模な専業農家、農民専業協同組合へシフトさせる。食糧や搾油作物、ブタ調達主要県に対する中央財政の一般的移転支出を増やし、奨励補助金の規模と適用範囲を拡大させる。また、「三農」向け貸付の増加分の占める割合が前年度を下回らないように、各金融機関で「三農」向けの貸付を増やすよう誘導する。政策的性格を持つ金融部門の「三農」に対するサポートを強める。政策的農業保険制度を健全化させ、農業再保険と異常災害のリスク分散の枠組みを構築する。 農村改革を深化させ、農村の活性化を図る。農村の基本的な経営制度を堅持し、充実させ、耕地や森林地帯、草原などに適用する家庭請負経営制度を健全化させる。農村の土地管理制度の改革を秩序正しく推進する。耕地保護の補償メカニズムの構築をめざして検討し、模索する。引き続き農村の総合的改革を推し進める。村レベルの公益事業の整備に向けた「一事一議」(一つ一つの事業の採否を村民大会で決定する)の財政的な奨励・補助制度を全面的に実施し、奨励・補助の資金枠を大幅に増加させる。農民専業協同組合と農業社会化サービス体系の発展を速め、農業組織の高度化を図る。今年度末までに、農業技術の普及や、動植物疫病の予防・抑制、農産物の品質を監督・管理する郷鎮または地域ごとの公共サービス機構を全国的に広く設立し、整備する。
十三億もの中国人の食の問題を解決するのは、何よりも大事なことであるため、いかなる時にも油断してはならない。われわれはこの大事業をやり遂げる自信を持っているし、またその能力も持っている。
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