三、二〇一一年度の経済・社会発展の主な任務と措置

今年は「第十二次五ヵ年計画」を実施する最初の年であり、経済・社会発展の諸般の活動を立派に行うことは、重要な戦略的チャンスにめぐまれたこの時期をしっかりとつかみ、それを十分に活かし、さらにずば抜けた業績をあげて中国共産党創立九〇周年を迎える上で、非常に重要な意義をもっている。このため、今年度は引き続きマクロコントロールを強化、改善し、経済の安定したより速い発展を保つことと、経済構造の調整とインフレ期待に対する誘導との間の関係をより積極的かつ適切に処理し、物価総水準の安定化をマクロコントロールの最優先課題と位置づける。引き続き積極的な財政政策を実施する一方、適度に微調整を加える。財政赤字と国債の規模を適宜減らし、今年度は財政赤字を九〇〇〇億元計上し、前年度より一五〇〇億元減とする。そのうち、中央財政赤字は七〇〇〇億元、地方債の代理発行額は二〇〇〇億元（この部分は地方予算に組み入れる）で、赤字率を二％前後に下げることにする。穏健な通貨政策を実施する。今年度は、広義のマネー・サプライ（M2）の所期伸び率は一六％とし、合理的な社会融資規模を維持する。政策実施の度合いや段取り、重点をうまく把握し、諸政策の整合性を高め、短期的コントロール政策と長期的発展政策を統合的に配慮しなければならない。経済に大きな変動が生じないように当面の発展プロセスにおける際だった問題の解決に努めるとともに、深層部の矛盾の解決と潜在的なリスクの解消に取り組んで、発展の協調性・持続可能性の向上と内生的原動力の増強を図るべきである。二〇一一年度は、重点として次の九つの活動に取り組まなければならない。

（一）価格に対するコントロールや監督管理を強化し、物価総水準の基本的な安定を保つ。

（１）市場の供給を確保する。「米袋」に対する省長の責任制と「買物かご」に対する市長の責任制を確実に実施する。重要商品の備蓄制度と主要農産物の臨時買付・備蓄制度を充実させ、国家備蓄を活用するタイミングを科学的にとらえ、輸出入による調整を適切に行う。農産物流通ルートの円滑化を図り、「農超対接」（農家がスーパーに直納すること）への取り組みを強め、都市の農産物マーケットの売り場使用料およびスーパーの出店料を引き下げ、規範化し、農産物中堅卸売市場のグレードアップや改造と、大型食糧物流拠点、野菜卸売市場、コミュニティー青果店および農産物低温物流の整備をサポートする。（２）コントロールの対応性を高める。流動性に対する管理を強化する。重要農業・副業生産物市場の監視・早期警報システムの整備と健全化に取り組み、重点商品市場と価格のコントロール予備案の充実化を図る。政府の管理下にある商品・サービス価格の調整のタイミング、段取り、度合いをよくつかむ。法に基づいて価格調節基金を設立し、完備させる。（３）価格への監督・管理を強める。農産物先物市場の監督管理を強化し、農産物の電子取引市場を整理整頓し、過度な投機に歯止めをかける。食糧買付の資格審査を厳格にし、農産物の経営と深度加工の秩序を規範化する。「価格違法行為行政処罰規定」と「価格独占禁止規定」を真剣に執行し、買いだめや価格の吊り上げ、形を変えた値上げ、価格カルテルの締結などの違法行為を厳しく取り調べ、処分する。（４）補助制度の充実化を図る。優遇・扶助対象者、都市農村の生活保護者、農村の「五項目（衣・食・住・医・葬）」扶養対象者に引き続き物価臨時手当を支給する。所属系統別に資金を拠出し、大学や中等専門学校の困窮家庭学生と学生食堂への補助金を増額する。最低生活保障・失業保険基準を物価上昇にスライドさせるメカニズムを早期に確立し、健全化させ、低所得者層の基本生活を保障する。（５）価格環境を改善する。費用徴収の整理と規範化を目指した諸般の規定を実施し、引き続き不合理な費用徴収項目を撤廃し、高すぎる費用基準を引き下げ、費用の無断徴収や超過徴収、形を変えた費用徴収を断固禁止する。（６）世論による導きを強化する。価格の動向を正しく報道し、価格に関する政策を詳しく説明し、事実捏造や、偽情報の伝達などの悪質な喧伝をきびしく取り調べ、処分する。