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両大会のホットな話題  
今年の「両大会」、注目される5大関心事

 

2011年の全人代と政協会議がまもなく開かれるが、「1.所得配分制度の改革、2.物価・不動産および生産コストの引き下げとマクロ規制、3.労働力不足による経済成長モデルの転換、4.公共財と公的サービスの整備による国民幸福感の向上、5.文化産業の発展とソフトパワーの強化」といった5点が今年の大会での注目点となっている。

注目点1:所得分配制度の改革

中国では、改革開放後経済が急成長し、社会がますます豊かになっている。しかし、これによって富の分配に不均衡が生じ、都市と農村の間、および業界・地域間の所得格差がますます広がっている。統計によると、初期分配に労働者の報酬が占める割合は1995年には51.4%であったが、2007年には39.7%に下降し、国民所得の対国内総生産(GDP)比も1992年の68.6%から2007年の52.3%にまで下落した。

これに対して、全国人民代表大会(全人代)の代表を18年連続で担当している辜勝阻氏は「分配の不均衡問題は社会の公平と安定に影響している。現在国民が最も求めていることは、所得分配の見直しだ」と指摘した。

辜勝阻氏によると、今年の全人代と政治協商会議では、今後5年間の経済、社会発展の目標を定めた「第12次5カ年計画」の審議が重点となる。「第12次5カ年計画」には、国民所得に占める個人所得の割合と初期分配に占める労働者報酬の割合を高めるとともに、所得増加と経済成長、労働者報酬の増加と労働生産性の向上を同等のペースで進めるとする内容が盛り込まれている。

注目点2:物価・不動産および生産コストの引き下げとマクロ規制

中国人民銀行の最新調査データによると、全国の約74%の住民は物価の高さに納得できないと感じており、物価満足度は11年ぶりの最低水準を記録しているという。

これに対して全国人民代表大会の辜勝阻代表は、「中国語の『高物価』(物価が高い)、『高成本』(コストが高い)、『高房価』(不動産価格が高い)という三つの言葉が目下、もっとも注目を集めているキーワードとなっている。住民の生活コストと企業の生産コストには緊密な伝達メカニズムが存在するため、高額な不動産価格、物価、コストにより、悪循環に陥ることとなる。これは、現在の中国のマクロ経済コントロールに大きな試練をもたらしている。」と語った。

また、全国政治協商会議委員、民建中央(中国の民主党派のひとつ)調査研究部蔡玲部長は、「今年、民建中央は33件の提案を全国政治協商会議第11次4回会議に提出するが、これには物価安定、住宅保障などの重要な問題が含まれている。」と述べた。このほか、民建中央は財政政策の奨励メカニズムを利用して、減税措置を講じ、企業の生産コストの軽減を図った上で、企業がモデルチェンジやグレードアップを通じて、高コストへの対応を行うようサポートすることを提案している。

注目点3:労働力不足による経済成長モデルの転換

今年の春節後、長江デルタや珠江デルタなどの沿岸地区のみでなく、重慶、武漢、成都など中西部の都市でも労働力が不足するという現象が生じた。これにより、企業は争って出稼ぎの農民工の採用を開始した。

中華全国総工会(ACFTU)が発表した最新調査によると、現在、青年農民工の大多数が1.低収入、2.労働安全に関わる多くの隠れた危険、3. 労働契約の実施が不完全、4.職業の安定性が低い、5.社会保障レベルが低い、6.企業の人文配慮が乏しい、7.職業訓練が非理想的、8.労働組合への加入率が低いなど、8つの問題点に直面しており、これが青年農民工の出稼ぎを妨げている。このため、農民工の各種権益を保障することは、それぞれの業界の労働組合委員らが以前から関心を寄せ続けている問題となっている。

また、この他の調査によると、珠江デルタにある90%以上の企業で労働力が不足していることが明らかになった。こうした需給関係の変化により、企業は労働者の待遇を改善せざるを得なくなり、労働コストが上昇した。人力資源・社会保障部の統計によると、2010年に、中国の大多数の都市において最低賃金基準が引き上げられ、平均22.8%増加した。

全国人民代表大会の辜勝阻代表は、「これは、中国の廉価な労働力時代が徐々に終焉を迎え、長期に渡って継続してきた廉価な労働力に頼った経済発展モデルがすでに維持できない状態になっていることを意味しており、労働コストの上昇が中国に経済の発展方式のモデルチェンジを迫る主な動力となっている」述べた。

注目点4:公共財と公的サービスの整備による国民幸福感の向上

今年春以降、中国各地で人民代表大会や政治協商会議が開催され、地元の発展に向けた計画が相次いで発表されることとなる。こうした中、「幸福感」や「幸福指数」といったワードが注目され、地方の発展における新たな目標となっている。

これについて、全国人民代表大会の辜勝阻代表は「中国では国民の需要が日々高まっているのに対し、公共財や公的サービスが立ち遅れているという問題が深刻になっている」と指摘した。また、「これまで、経済の成長至上主義的なやり方によって、資源配置の不均衡が生じ、公共資源の供給不足をもたらした」との見方を示した。

辜代表によると、中国では教育、医療、社会保障に充当する支出はこれら3項目を合計しても政府支出のわずか29.2%のみに留まっており、同等の発展レベルの諸外国に比べて約20ポイント下回る。医療衛生サービスを例とすると、「看病難、看病貴(診察を受けるのが難しく、治療費も高い)」という問題がとくに深刻であり、これらの問題は、医療資源の配置が不均衡であることや医療サービスの公益性の不足などが原因と見られる。

統計では、中国の医療資源の70%が都市部に集中し、さらに都市部では、医療資源の80%が大・中規模の病院に集まっている。

注目点5:文化産業の発展とソフトパワーの強化

中国文化ソフトパワー研究センターなど複数の団体がこのほど、共同で発表した研究報告によると、中国の文化産業が世界文化市場にしめるシェアは4%にも及んでいない。改革開放後の30年において、中国のハードパワーは勢い良く伸びており、国内総生産(GDP)は世界二位、外貨準備高は世界一に躍進したものの、文化産業に代表されるソフトパワーとの間にはまだ大きな開きがある。

中国の民主党派のひとつである「民進中央」は関連調査において、中国の文化産業の発展に潜んでいる問題点として次の四点を指摘した。

(1)伝統文化への認識が曖昧で、儒教の優れた道徳文化が少しずつ失われており、社会の道徳基準から手本が失われつつある。

(2)文化は経済生産力の付属品であるとみなされており、経済発展のための文化発揚は重視されているものの、人格形成に対する文化の影響力が無視されている。

(3)主流文化が周縁化されつつあり、市場の力が過分に強調されているため、主流文化及び関連科学に対する支持が不足している。

(4)文化の発展と新興メディアとの適正な関係がまだ構築されていない。

なお、もう一つの民主党派・「民建中央」も全国政治協商会議に「税収政策の整備をはかって文化産業の発展を促そう」と題した議題を提起する予定だ。

調査によると、ここ数年、中国の文化産業に大きな発展が見られ、国民経済への寄与度も少しずつ高まっている。2009年、中国は文化産業による付加価値8400億元を実現しており、同期のGDP規模の2.5%を占めるようになった。しかし、基幹産業として然るべき割合とはまだ開きがあることから、今後も経済政策において国の一層の援助が必要であると見られている。

「中国国際放送局 日本語版」  2011年2月27日

 

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