二、二〇一〇年度の中央と地方予算案

今年は、引き続き国際金融危機に対応し、経済の安定した比較的速い成長を確保し、発展パターンの転換を加速させる上で肝心な年であり、また第十一次五ヵ年計画の所定目標を全面的に達成し、第十二次五ヵ年計画期の発展に向けて確固とした土台を築き上げる上で重要な年でもある。

(一)当面のわが国の財政事情

全般的に見れば、二〇一〇年度財政を取り巻く環境は昨年度よりよくなるだろうが、その情勢は依然として極めて複雑である。歳入の面においては、マクロ経済の情勢と企業経営状況の好転や価格水準の復調は、財政の増収にプラスとなるが、構造的減税政策の実施や前年度の一部製品の輸出税還付率引上げなどの要素は財政の増収にマイナス影響を及ぼすであろう。また、対外貿易輸出入を短期内に危機発生前の水準に回復させることは難しく、輸出入分野の税収も伸び悩む。一部業種の企業収益も比較的低く、企業所得税の増加は期待できない。さらに、前年度実施した一部の特別増収措置も今年度の財政収入の伸びに影響を及ぼすであろう。歳出の面においては、建設中のプロジェクトは大量の資金投下を続ける必要がある。また、低所得者層の収入増をはかり、「三農」や教育、科学技術、社会保障・雇用、医療衛生、保障タイプの住宅、省エネ・排出削減など経済社会発展における肝心な部分を強化し、さらに民族地区、国境地域を支援するにも、いずれもさらなる財政投入が必要となるうえ、その基数が大きく、下方硬直性も強い。そして震災復旧・再建の支援や、新しいタイプの農村社会養老保険の試行作業の展開、医薬・医療衛生体制など諸般の改革を推し進めるにも巨額の財政投入が必要とされる。したがって、二〇一〇年度も依然として大変厳しい財政運営を強いられるであろう。

これに対し、われわれは有利な条件と積極的な要素を十分に見て取り、自信を強めるとともに、前もってさまざまな困難や試練を十分に予測し、盲目的に楽観してはならない。さらに、憂国意識とリスク意識を高め、さまざまなリスクと試練に立ち向かう下準備をより周到にととのえ、仕事のうえでのイニシアチブをしっかり握らなければならない。

（二）財政予算の編成と財政活動の全般的な要請

経済の安定した比較的速い発展の維持と経済構造の調整、インフレ期待の誘導との関係を正しく処理し、マクロ経済政策の一貫性と安定性を保ちながら、新しい情勢・状況に基づいて政策の対応性と柔軟性を重点的に高めるという中央の提起した要請に照らして、二〇一〇年度財政予算の編成と財政活動の指導思想を次のように定める。党の第十七回全国代表大会、十七期三中総、四中総および中央経済活動会議の主旨を真剣に貫き、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を指針として、科学的発展観を深く貫徹し、引き続き積極的な財政政策を実施し、国民所得分配の枠組調整にさらに力を入れ、財政・税制の改革を推し進め、財政支出構造を最適化させ、「三農」や教育、科学技術、医療衛生、社会保障、保障タイプの住宅、省エネ・排出削減および未発達地区への支援を強化し、経済の成長、構造の調整、地域間のバランスの取れた発展と都市・農村の統一的な計画に基づく発展を促進し、民生を確実に保障、改善する。また、法に基づいて財政を管理し、統一した計画の下で各方面に配慮し、収入増加・支出節減を図る方針を堅持して、財政の科学的な管理を強化し、一般的な支出をきびしく抑制し、財政資金運用の効率と効果を向上させ、経済の安定した比較的速い発展を促す。