（三）都市農村の発展を統一的に企画することに力を入れ、農業・農村の発展の基盤を固める

六年連続の増産と収入増をなし遂げた後も、いささかも弛むことなく「三農」への取り組みをいっそう強化すべきである。都市と農村の発展を統一的に企画するという要請に基づき、「三農」問題を立派に解決することをあくまで全活動の最重要課題として位置づけ、「三農」強化・優遇策をさらに強化し、工業化、都市化および農業・農村の現代化がバランスよく進むように促し、農業や農村の好況を根付かせ、発展させる。

農業の安定した発展と農民の持続的な収入増を促す。食糧生産を安定させ、搾油作物の作付面積を拡大し、不足している重要農産物の供給増をはかり、食糧、綿花、搾油作物、製糖作物の高収穫を大いに作り出し、園芸生産品の生産と標準化をめざした牧畜・水産養殖を大いに推し進め、「米袋」や「買物かご」の安全を確保する。引き続き食糧作付農家への直接補助を実施し、農業資材総合補助金、優良品種作付補助金、農用機械購入補助金を増加し、中央財政は一三三五億元の補助金を計上し、前年度より六〇億四〇〇〇万元増とする。食糧最低買付価格をさらに引き上げ、早籼米（インディカ米）、中・晩籼米と粳米（ジャポニカ米）と小麦を一キロ当たりそれぞれ〇・〇六元、〇・一元、〇・二元と〇・〇六元値上げすることとし、引き続き重要農産物の臨時買付・備蓄政策を実施し、農民がより多くの実益を手にするようにする。食糧生産拠点、養豚拠点、牛飼育拠点となっている県に対する財政面の支援を強化する。農産物の加工業を大いに発展させ、農業の産業化経営を推し進め、卸売市場と農産物取引市場のグレードアップと改造をサポートし、生産と市場のドッキングを推し進める。農民の就業と創業を促進し、多ルートを通じて農民の収入増をはかる。貧困脱却扶助開発の度合いをいっそう大きくする。農民大衆が一日も早く豊かになり、安泰な暮らしができるよう、われわれは貧困と立ち遅れの解消にたゆまぬ努力をしなければならない。

農業のインフラ整備を強化する。財政支出を農業・農村発展のバックアップに優先的に充て、予算枠内の固定資産投資を農業のインフラ施設と農村の民生プロジェクトに優先的に振り向け、土地譲渡収益を農業用地の開発と農村のインフラ整備に優先的に使うことを堅持していく。中央財政は「三農」への投入を八一八三億元計上し、前年度比九三〇億元増とし、地方各級の財政も投入を増やすべきである。食糧主産地を中心に、全国五〇〇〇万トン新規食糧生産能力整備計画を全面的に実施する。農地水利施設を重点とし、農業のインフラ整備を強化し、大中型灌漑区に関連する改造を速やかに行い、節水灌漑農地の面積を拡大し、高基準農地を整備し、大中型ダムおよび老朽化した重点小型ダムの危険排除と補強工事を完成する。優良品種の育成を重点とし、農業科学技術のイノベーションと普及を速め、遺伝子組み換えによる新品種育成の科学技術重要特別プロジェクトを着実に進める。現代農業モデル区域の建設を積極的に推進する。農業技術の普及、動植物疫病の予防・抑制、農産物の品質の監督・管理などを担当する公共サービス機構の郷・鎮や地域ごとの整備を速める。

農村改革を深化させる。いささかも揺るぐことなく農村の基本的な経営制度を堅持し、関連法律・法規や政策の整備を速め、現行の土地請負関係の安定化と長期的維持を保たなければならない。土地請負経営権の譲渡に対する管理とサービスを強化し、合法的、自由意志、有償の譲渡を踏まえて多様な形態の規模経営を発展させる。引き続き農村の総合改革を推し進める。集団山林権制度改革に係る政策を健全化させる。国有林場の改革を始動させる。草原の基本的な経営制度の改革を引き続き推進する。農民の専門別協同組合を発展させ、農業の組織化を強化する。農村における小型金融機関の育成を速め、農村で小口融資を積極的に普及させ、農村の金融サービスを着実に改善する。郷・鎮機構改革をつっ込んで推進していく。

都市化と新農村の建設を統一的に企画し、推進する。あくまでも中国の特色ある都市化の道を歩み、大・中・小都市と鎮（町）のバランスのとれた発展を促し、都市の総合受容能力の向上に力を入れ、都市の農村に対する波及・先導効果を発揮させ、都市化と新農村建設がうまく促進し合うようにする。県域経済を大きくし、県都、中心的な鎮のインフラ施設と環境整備を大いに強化し、農業以外の産業と農村の人口が秩序を保って小都市・鎮へ集まってくるよう導き、帰郷した農民工が地元で創業することを奨励する。都市と農村の建設はあくまでも、最も厳しい耕地保護制度と最も厳しい用地節約制度を堅持しなければならず、農民の合法的権益を確実に守る。戸籍制度改革を推進し、中・小都市と鎮の定住条件を緩和させる。計画を立て、段取りを追って都市部における農民工の就業や生活問題を解決し、労働報酬、子女の就学、公衆衛生、住宅の賃貸借・購入および社会保障面において農民工が都市部住民と同等の待遇を享有できるような環境を逐次つくっていく。農村の生産・生活施設の整備への投入をさらに増やし、新ラウンドの農村送配電網の改造をスタートさせ、農村のメタンガス整備の規模を拡大し、今年はさらに六〇〇〇万人の農村人口の飲用水安全問題を解決し、農村でクリーンプロジェクトを実施し、農村の生産・生活条件を改善する。われわれは条件に適った農業の移転人口を都市部住民へ逐次転換させるとともに、また農民が幸せに暮らせるよりよい街づくりをしなければならない。