温家宝総理の政府活動報告や全人代の議事日程を見ると、今年の中国の「両大会」では、GDPの成長目標、選挙法改正や上海万博などがホットな話題となっているのが分かる。日本の記者はこれらの話題についてどう考えているのか、また「両大会」の取材でどのような経験があるだろうか。昨年から「両大会」の取材を始めた「東京新聞」の池田実総局長に話を聞いた。
一、 中国の「両大会」の取材での面白い話を紹介していただけますか。
実は、両大会は昨年が初めてで、今回が二回目です。全く経験は豊富ではないので、昨年も今年も四苦八苦しております。というので、面白い話もないのですが、昨年も今年も両大会に向けて、農民工を取材させていただきました。昨年は仕事がなく、食事もままならなかった農民工が数多くいましたが、今年は農民工が仕事を選んでいる姿が印象的でした。
二、 日本のメディアに携わる方として、今年の「両大会」では主にどういった面に注目していますか。
一番注目しているのは経済関係です。もはや世界経済にとって中国は主役です。中国の経済動向が世界経済を大きく影響させることになりますので、経済関係は見逃すことができません。
具体的には、金融危機から脱した中国が、危機後にどのような経済方針で臨むのか。成長パターンの転換を加速するために、どのような方策を打ち出していくか。なかでも内需、とくに消費拡大に向け、どう対処していくのか。また価格が高騰し、バブルとも指摘される不動産などへの対応方針をどう示していくのか、といった点です。
三、中国は4兆元の投資計画を含め、2009年に金融危機対策として積極的な措置を採りましたが、今年の中国経済の動向をどう見ていますか。
金融危機も乗り越えた今年の中国経済は、8%の成長も問題ないと思います。ただ、昨年のように投資に偏った成長が長期的に持続することは困難だと思います。こうした時に必要なのは長期的な視野をもった経済構造の改革だと思っています。構造改革に深く踏み込んで行くことができるかどうか、両大会ではこうした議論も注目しております。
四、選挙法の改正に対してどう評価していますか。
これまで中国は発展を重視し、農村、農民をやや置き去りにしてきた傾向があったと思います。しかし今や都市部の発展は目覚ましく、置き去りにしてきた課題に対処していくことが優先課題となってきました。なのでこうした選挙法改正は時代に合った措置であり、民主的措置への進歩と思っております。
五、上海万博の開催に関してどのようなことを期待していますか。
上海万博は中国を世界にアピールする絶好の機会だと思っています。万博中は、日本人も含め多くの外国人が上海を訪れると思います。中国を初めて訪れる人も少なくないと思います。北京五輪もそうでしたが、上海万博は期間が長期にわたり、中国を訪れる人も五輪より多いと思います。中国が世界で注目されている一方、中国を理解できない人たちも未だにおります。なので、中国の方々には万博を機会として、世界の人々と少しでも交流をしてもらいたいと思います。
六、最後に、トヨタのリコール問題についてどう考えていますか。
トヨタは日本を代表する企業ですので、トヨタのリコール問題は、日本製品全体の不信感につながりかねない、と思っています。日本の企業は今、中国で売っていくことを最優先課題に位置づけて力を入れています。中国人の方々向けの製品づくりも始めています。こうした商品開発は昔は米国向けで実施していましたが、今は中国向け商品が主体となっています。日本製品に対する不信感が募る懸念はありますが、こうした積極的対応策が中国の方々にも、いずれ歓迎されると思っています。
「チャイナネット」 2010年3月9日 |