宮田聡美
私がこの度の「両大会」で最も期待することは、「反腐敗の一層の強化」です。何故なら「腐敗」こそが、現在の中国が抱える「ありとあらゆる問題の根源」だと考えるからです。つまり「反腐敗」こそが、他の諸問題即ち「貧富差」、「不動産」、「教育」、「医療」、「環境」、「就業」から「拝金主義」や「民主化」といった問題を解決するための「必要不可欠な基盤」だと確信しているからです。
そして「反腐敗」の一方法として私が考えるのは、公務員に「法的根拠の説明義務」を課すことです。凡そ現代の「民主的法治国家」において、公務員とは「権力の行使者」ではなく、一介「法の執行者」に過ぎません。公務員の公的行為、特に公権力の行使には必ず法的根拠があるはずであり、国民から要求があれば、公務員はいつでもそれを説明できなければならず、その義務があるはずなのです。
従って、公務員が説明をしなかったり、できなかったり、或いは何ら法的根拠が無かった場合、その行為は少なくとも「不適切」であり、場合によっては「越権」、「濫用」、「恣意的」行為として「違法」となり、国民はその行為を無視したり、上部機関や裁判所に訴えて行為の停止と賠償を要求したり、最低でも少々大きな声で不満を言う権利があることになります。
また、公務員は国民から絶えず根拠の説明を要求され、その義務に拘束されることで、公務員としての自身の立場、即ち「自分は決して特権を有する者ではなく、公共の福祉の為に法に基づいた事務に従事する者に過ぎないのだ」ということを改めて自覚するでしょうから、悪質な越権行為や権力の恣意的利用を一定程度自粛させることができると思います。
腐敗というのは往々にして、法的根拠を有する正当な権力からではなく、それが曖昧な或いは不在の場合に「そこに権力がある」と公務員及び国民の双方が「思い込む」ことに端を発するのです。「法的根拠の説明義務」はこうした危険な「誤解」を防ぐために必要かつ有効な一手段となることでしょう。また「法的根拠の説明義務」が有効に作用した場合、「腐敗」を一定程度防止できるだけはなく、国民の法治意識と政治に対する関心を喚起して、国民の素質の向上と社会の安定に寄与するとともに、公権力の誤謬や横暴から国民の権利を守り、政府に対する信頼を一層高めることができると思います。
「チャイナネット」 2010年3月3日 |