新華社のウェブサイト「新華網」は両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)の開幕を前に、ネット利用者が民生上の問題を温家宝総理に報告できる特設ページを開設した。22日昼までに、身近なものから深刻なものまで様々な問題点や訴えが各地の民衆から寄せられ、書き込みはすでに3500件以上、計170ページ余りに達している。
「不動産価格が中央政府にとって深刻な試練となっている」「収入格差が開き、貧富の差が大きい。政府には、今回の全人代でこれを重大事として議論し、まずまず満足のいく対策を打ち出してもらいたい」----。
江蘇省、内蒙古自治区、四川省のネット利用者から寄せられた問題は、一般市民の懸念を反映している。新華網が同時に行った調査では、人々が最も関心を寄せる両会の議題が、住宅、収入、医療問題であることが明らかになった。
「21世紀に入って以来、経済・社会発展の最も困難な1年」と称された2009年、中国政府は4兆元規模の投資を含む包括的な景気刺激策によって、世界経済が後退する中でも、国内総生産(GDP)33兆5400億元、「可比価格」で前年比8.7%成長を達成した。
中国経済は回復へ向かいつつも、2010年も数多くの試練に直面している。国家統計局によると、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比1.5%増で、3カ月続けて増加した。工業製品出荷価格指数(PPI)は同4.3%増で、2カ月続けて大きく上げ幅を拡大している。昨年実施した積極財政と適度な金融緩和政策も、国内証券市場と不動産市場の暴騰を招いた。株価指数の年間累計上げ幅は上海が80%、深センが110%に達している。
アジア開発銀行中国代表部のシニアエコノミスト、庄健氏は「中国経済は世界金融危機から最も早い回復を遂げたものの、危機の前から経済構造上の問題を抱えている。ポスト危機時代の新たな情勢の下で、経済構造調整の突破口をどうやって見出すかに注目すべきだ」と指摘。両会の注目点として所得分配改革、経済成長パターンの転換、産業構造調整、人民元相場、インフレなどを挙げ、「昔からの問題が多いが、新たな問題もいくつかある。たとえば、インフレやある程度の資産価格バブルだ」「どのようにして人々の消費を高め、所得を増やすかという問題も、結局は産業構造の調整にかかっている。今年の両会には短期的な問題の解決に加え、長期的な計画も求められる」と指摘する。
著名なコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーは「中国は多方面の政策から着手しなければならない。個人消費の刺激、国の医療衛生・年金制度の抜本的改革、経済の基本構造の全面的な改革を結びつけて初めて、現在の過度の投資・輸出依存型の急成長という局面を変えることが可能になる」との見解を示している。
「人民網日本語版」2010年2月23日
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