第11期全国人民代表大会第2回会議が3月5日、北京の人民大会堂で開幕し、国務院の温家宝総理は政府活動報告を行った。
これについて米紙『ニューヨーク・タイムズ』(3月5日付け)は、「中国は壮大な刺激策を描き出した」と報道。以下にその内容を記載する。
中国が「かつてない困難と試練」に直面しているのにともない、温家宝総理は建設や補助など一連の経済対策を打ち出した。世界的な金融危機の中でも中国の近代化建設を引き続き推進することがねらいである。
温総理は、中国の指導者は大多数の西側諸国のように国民の消費を奨励することによって経済戦略の根本的な変革を追及すると述べた。これまでの中国の驚くべき経済成長は、輸出や道路・ダム・その他インフラ整備への大量投資によって促進されたものであり、専門家たちはこの成長パターンを長く続けることは不可能だと見ている。
だが、温総理は活動報告の中で金融危機に対する追加策を明確にしなかった。中国は昨年11月に5850億ドル(4兆元)の景気刺激策を発表している。温総理が5日に新たな景気刺激策を発表するのではないかとの期待から、4日の中国の株式市場は株価が6ポイント上昇し、世界各地の株式市場も上昇した。
温総理は、2009年は困難な一年になるだろうが、中国の経済戦略は合理的なもので、中国の基本的な部分はプラス方向に進んでいると述べた。
アナリストは、温家宝の活動報告には次の2つの目的があると指摘する。?世界経済の動揺を無事に乗り越える?社会の安定を維持する。UBS北京駐在経済アナリストの王濤氏は「社会の安定が政府の注目点であることは間違いなく、常に最大の関心事である。成長促進や失業抑制などあらゆる対策はすべて社会安定のため」と話す。
王濤氏によると、中国が昨年11月に発表した刺激策は主に建設プロジェクトに集中しており、これは経済を速やかに回復させるために非常に有益だと言う。温総理が5日に発表した社会投資も、中国経済の健全な運行にとって同じように重要である。温総理は、中央政府は学校・病院・問診・低価格住宅・環境およびその他項目への投資を大幅に増やし、民生を改善すると表明した。また、農民に補助金を支給し、最貧困層に年金を提供することを重ねて言明し、社会のセーフティーネットへの投資を17.6%増やして64億ドルにすると述べた。
温総理はさらに、消費の奨励を長期的な戦略原則および経済刺激の起点にすると表明した。中国の消費者に長期にわたる貯蓄の習慣を放棄させるのは簡単なことではない。中国が5日発表した公式文書によると、消費者向けのローンを増やし、個人所得税を減らして、新築住宅や新車、中古住宅や中古車の市場を育てる計画であるという。また、農村部住民の家電製品購入に補助金を支給するとしている。
中国は高速道路や鉄道、低価格住宅、エネルギー備蓄などの主要プロジェクトへの投資規模を2倍以上に増やし、約1320億ドルにする見込みである。
中国政府は、全国人民代表大会を通して、団結して自信のある党の姿を国民に示したいと考えている。中国の景気刺激策の目的の一つは、失業が社会動揺の引き金とならないようにすることである。
「チャイナネット」 2009年3月9日
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