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本誌記者の特別報道  
「エネルギー法」、全人代で採決か

 

エネルギー戦略に法的な保障

華東理工大学法学院の肖国興教授は、「エネルギー法」(意見募集用草案)の核心で最大の注目点は、国のエネルギー戦略を法的レベルから確立するものであるという点だと語っている。意見募集用草案は、国のエネルギー戦略を初めて法的レベルから定めるとともに、エネルギーの発展戦略と考え方、戦略目標、戦略配置、戦略の重点、対策など、その内容を原則的に規定したものである。国のエネルギー戦略は国務院が組織、制定し、公布するが、その戦略期間は20年から30年ほどで、5年ごとに評価、改訂し、必要なときには適時に改訂する。

肖国興教授は、中国には今のところまだ法的な意味でのエネルギー戦略がなく、エネルギー戦略の表明を権威ある機関が行っておらず、学者が表明するか、多くは政府の白書で明らかにされているだけだと見ている。これも、長期にわたって中国のエネルギー対策が安定していない直接的な要因だと同教授は言う。

また、エネルギーの種類が多いことや企業が分散していることが、中国のエネルギー産業の大規模な発展を制約している大きな要因であり、これがある程度、国のエネルギー安全戦略の制定にも影響している。

こうした現状を変えるため、ここ数年間、中国の関連部門はエネルギー関連企業のM&Aを推し進めているところで、中でも石炭業ではそれが際立っている。

中国国家生産監督管理総局の統計データによると、中国の石炭生産企業ビッグ10の07年の生産量合計は、国内の石炭総生産量の約25.6%を占めている。これに比べ、米国のある大手私営石炭企業1社の年間生産量は米国の総生産量の約18%ほどである。

国家エネルギー局の張国宝局長は2月、09年には計画と政策支援を通じて中国の炭鉱企業のM&Aを大幅に促す必要があると表明した。

山西省寿陽県にある段王煤化公司は1958年に操業を始めた企業で、農村の末端から次第に発展していった現代化された株式制の鉱山だ。年間生産量は当初5万トンにも満たなかったが、今ではすでに150万トンに達し、現地の経済をリードし、就業を促して、極めて大きな役割を果たしている。

06年11月、段王煤化公司は、資産総額300億元という大型の国有エネルギー企業である河北冀中能集団と戦略的協力を進めることになった。再編後、冀中能集団の資金と技術の強みを利用して、段王煤化公司は鉱山の機械化とグレードアップを進める一方、資源の整理・統合の歩みを加速させ、周辺の小さな炭鉱に対してM&Aを進め、企業の強大化とスピーディーな発展を実現し、今や、このありふれた地方炭鉱は現代化された炭鉱グループ企業へと変身を遂げた。

最新の発展戦略によると、M&Aを通じて急成長してきたこの地方炭鉱グループ企業の年間生産量は2010年までに現在の生産量の3倍となる450万トンに達する見通しで、売上は15億元、法人税は5億元になる見込みだという。

「戦略的な再編を経て、わが社は大規模な発展の道を突き進んでおり、市場競争力が大きく強化された」と、段王煤化公司の聶強会長は言う。

市場化の原則

中国におけるエネルギー業界は、大企業は国有企業1社だけで、しかもますます強大になっているというのが現状だ。国有企業の高度な集中はエネルギー業界が抱える根本的な問題の根源である。エネルギー効率を高めるには、民営企業と外資の参入という問題を解決する必要がある。しかし、国有企業が1人勝ちの現在の状況下では、民営企業と外資の参入をいかに奨励するかがエネルギー産業改革の大きな課題となっている。

この問題に対して「エネルギー法」(意見募集用草案)は、エネルギー分野で多元化された財産権制度を実施することを明確に提起している。しかし、エネルギーは重要な分野であることから、草案の修正意見稿の中では、原子力、石油・天然ガスのパイプ網、電力、都市の暖房供給など、国の安全や極めて大きな国民経済に関わる分野では、国有持ち株会社を主体とするのを堅持することが特に規定されている。

とは言え、「エネルギー法」(意見募集用草案)では市場化原則が認められている。それは、価格形成のメカニズムにおいてである。草案では、エネルギー市場の需給関係や資源の欠乏の度合い、環境負荷コストなどへの影響に有利な原則に基づき、市場による調整を政府による調整と結びつけることで市場調整を主導にしたエネルギー価格の形成メカニズムを打ち立てることを規定している。

廈門大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強教授は、市場調整が主導するエネルギー価格の形成メカニズムの構築は業界内でずっと言われ続けてきたことだが、今回は法律という形で規定される、と指摘している。同教授は、目下、ほぼすべてのエネルギー商品が市場競争の条件を具えているため、大きな方向性として今後は市場に価格をリードさせる可能性があるとし、「カギは時間の問題。今のところまだタイムテーブルはない」と言う。

市場化の原則は資源面における財産権の問題も映し出しており、これも「エネルギー法」の注目点だ。肖国興教授によると、同法の意見募集用草案では、水エネルギーや海洋エネルギーの開発権といった新エネルギーの財産権を規定している。今のところ、国家水法の中で国の水資源の所有権が規定されているほか、取水権について規定があるなど、主に消費する水を目的としている。だが、エネルギー利用については規定がない。今回の「エネルギー法」(意見募集用草案)は、水エネルギー、海洋エネルギーの開発権をはっきりと打ち立てている。こうした財産権がいったん最終的に決定されれば、市場主体が投資することもできれば、有償での開発、利用や譲渡も可能になり、財産権の及ぶ範囲が大幅に広がることになる。

監督・検査システムと責任メカニズムの構築

エネルギーの使用効率を高めるため、「エネルギー法」(意見募集用草案)は、政府による監督、政府内部における監督、政府の企業に対する監督など、具体的な監督・検査システムと整備された責任メカニズムを定めている。その中では監督・検査に関する章が特別に設けられ、権力機関の監督について明確に規定されている。たとえば、エネルギー面の業務について政府は人民代表大会に報告しなければならないという報告制度を設け、さらに、人民代表大会が質問を提起できることにしている。政府内部では、下級機関の上級機関に対する責任を定めるとともに、公務員の政府に対する責任も定めている。

エネルギーの安全を確保する重要な手段の1つはエネルギー備蓄である。これについて「エネルギー法」(意見募集用草案)は、国がエネルギー備蓄制度を築き、エネルギー備蓄の構築と管理を規範化し、エネルギーの緊急処理能力を高め、エネルギー供給の安全を保障することを規定している。エネルギーの備蓄には、エネルギー商品の備蓄とエネルギー資源の備蓄が含まれ、国のエネルギー商品の備蓄は政府の備蓄と企業の義務としての備蓄に分けられる。

エネルギー法の専門家である周大地氏は「備蓄の問題については業界内の理解に食い違いがあり、倉庫での備蓄を支持する者と埋蔵鉱物を保存することによる備蓄を支持する者がいる。今回の意見募集用草案では、この2つの備蓄方法がどちらもカバーされている」と話す。

中国科学院の会員である厳陸光氏は、草案は原則的に企業の義務的備蓄の可能性を規定してはいるが、現在の条件のもとでは中国は政府による備蓄が中心になる、と見ている。同氏によると、中国におけるエネルギー備蓄の当面の最たる問題は政府の備蓄が少なすぎることで、政府の備蓄システムを構築することが当面の急務だという。

「北京週報日本語版」 2009年3月4日

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