(四)さまざまな措置と政策を同時に講じて、「診療難と医療費高騰」問題の解決に積極的に支援する。健康は国民自身の幸福に関わるものであり、人間の全面的な発展と経済・社会の持続可能な発展の土台ともなっている。二〇〇七年度、中央財政は医療衛生支出を三一二億七六〇〇万元計上し、二〇〇六年度より一四五億三六〇〇万元増やし、八六・八%増とする。一、重大伝染病の予防・治療の無料化を実行する。予防できるものを予防し、治療できるものを治療し、モニタリングできるもののモニタリングを徹底させるよう努める。ワクチンの接種で効果的に予防できる法定重大伝染病を国の免疫計画の範囲に組み入れるとともに、これまでのエイズ、結核病、住血吸虫病に加え、良い診療効果が現れているハンセン病も医療救済の無料化の範囲に組み入れる。重大伝染病の予防・抑制経費の保障にいっそう力を入れ、伝染病の予防・抑制に関する知識の講習と普及をサポートし、伝染病の予防・抑制のレベルを向上させる。地方財政による拠出を主財源として法定重大伝染病の予防・治療資金をまかなっていた既存のメカニズムを改め、中央財政による拠出を主財源とする新しいメカニズムに転換させる。このような政策の実施により、より多くの患者が直接恩恵を受けるだけでなく、疫病の蔓延がよりよく抑制されるため、社会全体にとっても有益となろう。二、新しいタイプの農村合作医療制度の確立に拍車をかける。二〇〇七年、新しいタイプの農村合作医療制度のテスト範囲を全国八〇%以上の県(市、地区)に拡大し、一年繰り上げて全国範囲で新しいタイプの農村合作医療制度をほぼ打ち立てる。中央財政は引き続き一人当たり二〇元の基準で中西部地区へ補助金を支給するとともに、東部地区に対しても適切な援助を与える。また、地方財政による補助金基準もすべて一人当たり二〇元に引き上げるべきである。さらに、関連規定を絶えず充実させ、管理を規範化し、新しいタイプの農村合作医療への加入が真に農民のためになり、より多くの実益をもたらすよう保障する。三、都市住民の基本医療保険のテスト作業を推し進める。二〇〇七年から都市住民の基本医療保険のテスト作業をスタートさせ、逐次都市部職員・労働者以外の都市住民を基本医療保険のカバー範囲に組み入れる。中央財政から補助金を捻出して中西部都市の貧困層の保険料補助に充てる。また、都市部職員・労働者の基本医療保険のカバーエリアを拡大するとともに、閉鎖・破産した或いは経営難に陥った国有企業の定年退職者の医療保険加入を助成する。これらの支援策を通じて、広範な人民が診療を受け医療費を支払えるようにする。四、都市・農村の医療救済への支援を強化する。二〇〇七年度中央財政は引き続き投入を増やし、中西部地区の農村医療救済制度の整備を助成し、都市部の医療救済テスト作業を着実に推進し、都市・農村部における医療救済活動の規範化と制度化を促進し、医療救済レベルを絶えず高め、医療救済基金の運用に対する管理を強化し、都市・農村における貧困層の医療費の負担を着実に軽減する。五、末端の医療衛生サービス能力の向上を大いにバックアップする。農村と都市コミュニティーの医療衛生人員の育成支援に大いに取り組み、中央財政と地方財政から必要な資金を捻出して、二〇一〇年までに関係者全員が一通り職業訓練を受けられるようバックアップする。それと同時に、都市コミュニティーの公共衛生経費保障メカニズムの確立をはかり、二〇〇七年から、中央財政は中西部都市のコミュニティーサービス施設利用者に一人当たり三、四元の基準で補助金を支給する。これらの政策の実施を通して、都市住民が安全、有効、便利、迅速に健康増進の教育、予防、保健、リハビリ、計画出産関連の技術サービスなど基本的公共衛生サービスを享受しうるようにする。六、中国伝統医薬事業の振興と発展を大いにサポートする。「名望ある医師・科・病院」の整備と中国伝統医薬適用技術の末端における普及及び応用をバックアップし、中国伝統医薬事業の振興と発展を促進し、その特色と優位性をよりよく発揮させる。それと同時に食品、医薬品に対する監督・管理機能の整備の強化を大いにサポートする。
(五)基本的民生問題の解決に手を差し伸べることを優先させ、就業・再就業支援と社会保障などの諸事業を着実に強化する。民生問題の解決に大いに支援を与えることは社会の公平を促進し、社会主義調和社会を構築するための最も基本的な要請である。公共資源を配置する主体としての公共財政の最も重要かつ最も基本的な役割は社会の公平と正義を具現させることである。一、社会保障と就業・再就業支援事業に資金を投入する度合いを大きくする。二〇〇七年、中央財政は社会保障と就業助成支出として二〇一九億二七〇〇万元を計上し、前年度のかなりの増幅をふまえて、一三・九%増の二四六億九九〇〇万元増やした。二、引き続きその他の社会保障事業を促進する。都市住民最低生活保障と企業職員・労働者基本養老保険制度を完備し、基本養老保険個人口座の積立を確実にするテスト範囲の拡大をバックアップする。引き続き就業・再就業を支援する様々な諸財政租税政策を徹底させ、これまでに残されてきた再就業問題の解決に拍車をかける。社会保険基金の財務制度と監督・制約メカニズムの形成と健全化に重点を置き、社会保険基金及びその他のさまざまな社会保障資金の管理をいっそう強化する。農民就労者及び土地が収用された農民の就業支援と社会保障事業を立派に行うようサポートする。社会救済体系の充実化をはかり、災害対策・救助を大いにサポートし、困難を抱える人々の生産・生活問題の解決に積極的に援助の手を差し伸べる。三、引き続き所得分配の秩序を規範化する。公務員給与制度の改革や、公務員の所得分配秩序の規範化にかかわる政策・規定を厳格に執行する。国務院の定めた企業の定年退職者の養老年金調整案にもとづいて、引き続き企業の定年退職者の基本養老年金基準を引き上げる。中央の所得分配制度改革と分配秩序規範化政策を徹底化することを確保し、新たな遅配・未払いを確実に防止する。企業の所得分配政策を完備させ、国有企業の管理者と職員・労働者の所得格差を調節し、独占業種の所得分配に対する監督・管理を強化し、独占企業の所得分配制度を規範化する。四、都市部の低価格賃貸住宅保障制度づくりを支持する。予算の計上や、住宅積立金の運用益及び土地譲渡による収益など都市部の低価格賃貸住宅を保障する資金源を確保し、賃貸料の補助、削減と低所得者用賃貸住宅の配給などの方式を取り、低所得層の住宅難を解決し、困難を抱える人々が住まいをもてるように取り計らう。
(六)財政租税政策を完備し、経済成長パターンの転換を加速させる。自主的創造革新の能力を高め、省資源と環境への配慮を促すことは経済成長パターン転換の重要な一環もしくは突破口であり、経済の持続可能な発展を実現するために通らなければならない道でもある。一、科学技術への投入の度合いを大きくする。二〇〇七年度、中央財政の科学技術支出は八八一億二一〇〇万元計上し、前年度より二〇・一%増とした。中央財政の科学技術投資構造を最適化し、公益性のある科学研究機構に対するサポートの度合いを引き続き大きくし、科学研究機構の管理体制の改革を突っ込んで推し進める。重大な科学技術特別プロジェクトの実施をバックアップし、それぞれの特色と優位を持つ区域創造革新体系づくりを促進する。二、企業の自主的創造革新の能力を増強させる。租税徴収による扶助政策を十分に活用し、関連資金を統合し、企業が研究開発への投資を増やすよう奨励し、導き、知的財産権の保護を促進する。ベンチャーキャピタルが中小ハイテク企業へ投資することを奨励する。カギとなるコア技術及び重要な技術設備の自主的研究開発と国産化をバックアップする。産・学・研を有機的に結び付けた新メカニズムの形成を促進する。自主的イノベーションに対する政府の統一調達政策の助成機能などを広げる。三、資源、環境の有償使用制度の改革テストを着実に推し進める。石炭資源の有償使用制度改革のテストを充実化させ、電力業種と太湖流域を選択し、汚染物質の排出権の有償使用と汚染物質の排出権の取引テストを行い、省にまたがる流域の生態補償メカニズムを検討し、確立する。生態系整備と環境保全への投入を大きくし、廃棄物のリサイクル利用を奨励し、再生可能なエネルギー資源や、代替エネルギー資源、新エネルギー資源などを開発する関連財税政策を検討し、打ち出し、鉱産物資源補償と汚染物質排出に対する費用徴収政策を完備し、省エネ・省資源と環境保全を奨励する比較的整った財政租税政策体系の整備に拍車をかける。四、輸出における租税還付と関税政策を完備する。輸出による租税の還付メカニズム改革の成果を打ち固め、資源関連生産物と技術革新にプラスになる商品の輸入を奨励し、「高エネルギー消費、高汚染型」製品の輸出を規制する徴税政策を検討し、実施する。企業が国際貿易ルールを有効に活用するようバックアップする。
(七)企業所得税二法(『中華人民共和国外資企業と外国企業所得税法』と『中華人民共和国企業所得税暫定条例』を指す)の一本化などの改革に積極的に呼応して、社会主義市場経済体制をさらに充実させる。財政・税制による国民経済運営の調節、経済構造調整と持続可能な発展の促進という役割をより効果的に発揮させる。第一は、積極的に協力して国内企業と外資系企業の所得税二法の一本化の立法作業に取り組む。企業所得税法実施条例と関連政策・措置を検討し、制定するとともに、『企業所得税法』の順調な施行を保障し、公平競争と企業の強大化を促し、内需を拡大し、経済の持続可能な発展を推し進める。第二は、その他の税制改革を着実に進めていく。付加価値税の消費型への転換改革を全面的に実施する具体案と関連措置の検討と制定を急ぐ。新規の資源税制度を策定、実施する。新規の耕地占用税の整備と実施に力を入れる。不動産課税の実施案を検討する。ガソリン税の改革案の充実化を急ぎ、時機を選んでそれを実施に移す。印紙税条例の改正を検討する。不動産税の規制にかかわる政策・措置を絶えず充実させる。第三は、国有企業、金融体制等の改革の深化を大いにサポートする。国有企業の政策的閉鎖・倒産がうまく行われるよう引き続きサポートし、閉鎖・倒産された企業の従業員を適切に配置し、経済構造の調整を促す。東北地区における国有企業が運営している集団所有制事業体の改革テストのテンポを速める。中小企業の成長をサポートする。政策銀行、中国農業銀行、輸出信用保険会社の改革を積極的に進め、金融資産管理会社の商業化への転換を推し進める。第四は、国有資本経営の予算制度のテストを繰り広げる。国有資本経営の予算を編成することは、政府のマクロ規制能力を増強し、国有企業の発展の途上に見られる体制上の障害を減少ひいては除去し、国有経済の布石と構造の戦略的調整を促すとともに、必要な改革コストの拠出や国と国有企業の分配関係の規範化をはかることにも寄与する。中央財政は中央直轄企業とタバコ企業を選定して、予算編成のテストを行うことになったが、地方財政も積極的にテスト作業を展開し、予期の成果が上げられるよう努力すべきである。
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