上記の全般的な構想に基づき、二〇〇七年度予算の主要指標の設定を下記のように提示する。中央の歳入は二兆四四二一億八〇〇万元で、二〇〇六年度より三一八八億七七〇〇万元増やし、一五%増とする。その内、中央レベルの収入は二兆三五九〇億三〇〇〇万元で、二〇〇六年度より三一四〇億五三〇〇万元増やし、一五・四%増とする。この伸び幅は税務、税関部門の税収計画の四二〇億元を上回り、執行過程において予算額を達成できない場合、中央予算安定調節基金からまかなう。地方からの上納収入は八三〇億七八〇〇万元で、二〇〇六年度より四八億二四〇〇万元増やし、六・二%増とする。中央予算安定調節基金として調達する収入は四二〇億元である。中央の歳出は二兆六八七一億八〇〇万元で、二〇〇六年度より三三八八億八二〇〇万元増やし、一四・四%増とする。その内、中央レベルの支出は一兆一〇六二億元で、二〇〇六年度より一〇七〇億四四〇〇万元増やし、一〇・七%増とする。地方への租税還付金と移転支出は一兆五八〇九億八〇〇万元で、二〇〇六年度より二三一八億三八〇〇万元増やし、一七・二%増とする。収支を差し引くと、赤字額は二四五〇億元となる。中央財政の国債残高限度額は三兆七八六五億五三〇〇万元であり、二〇〇六年度に比べ二四八三億八五〇〇万元増とする。中央と地方の財政収支計画を集計して見ると、二〇〇七年度全国の歳入は四兆四〇六四億八五〇〇万元で、二〇〇六年度より五三三四億二三〇〇万元増え、一三・八%増となる。全国の歳出は四兆六五一四億八五〇〇万元で、二〇〇六年度より六三〇一億六九〇〇万元増やし、一五・七%増となる。財政収入の伸びを経済成長率より高く設定したのは、わが国の経済と社会の比較的速い成長トレンドとここ数年の歳入増の実状を考慮する一方で、収入減をもたらす諸要因を十分に考え合わせた結果であり、積極的かつ堅実なものである。
説明しておかなければならないのは、大会に審議を求める二〇〇七年度の予算案及び指標は新しい政府収支類別科目に基づいて編成されたものであるということである。審議の便宜を図るため、われわれは別途に新科目に基づいて二〇〇七年度予算案の内訳表の二〇〇六年度予算の執行額に対し適切な調整を加えた。
二○○七年度中央財政の重点支出の構成と主な財政租税政策を下記のように提示する。
(一)引き続き中央財政の赤字を適度に減少し、政府投資の使途と構成を調節し、最適化させる。マクロ規制は経済の安定した比較的速い発展を保つ上での客観的要請である。中央経済活動会議の精神と経済発展の新しい情勢に応じて、二○○七年度中央財政の赤字を初歩的に二四五○億元計上し、二○○六年予算額より五〇〇億元減とし、GDPに占めるウェートは引き続き一・一%に下がる見込みである。中央政府による投資総額を一三○四億元と計上し、二○○六年度の一一五四億元より一五○億元増とする。その内、国債依存プロジェクト資金の規模を五○○億元に調整し、二○○六年度より一○○億元縮小する。予算内の基本建設投資規模を八○四億元に調整し、二○○六年度より二五○億元増となる。国債依存プロジェクト資金及び中央予算内投資の使途と構成を一段と調整、最適化し、経済・社会発展の脆弱な部分に傾斜させ、農村の公共サービスの改善に重点を置く。
(二)農業支援・農民の受益をめざした諸財政租税政策を強化し、社会主義新農村の建設を急ぐ。社会主義新農村の建設は社会主義調和社会を構築するための重要内容であり、都市・農村のバランスのとれた発展と経済発展を促進する重大措置でもある。「多めに与え、少なめに取り立て、農村市場の活性化をはかる」という方針を着実に貫徹し、「三農」問題解決の助成を予算編成と財政活動の最重要課題として位置付けることを堅持する。二〇〇七年度中央財政の「三農」へ振り向ける諸科目の支出の合計を三九一七億元とし、二〇〇六年度より五二○億元増やし、一五・三%増とする。一、資金投下の増加政策を厳格に執行する。政府投資の新規増加分は主として社会主義新農村の建設に振り向け、農村の生産、生活条件の改善に直結する投資が二〇〇六年よりいくらか増加するよう確保する。新規増加させる教育、医療衛生、文化支出を主に農村へ振り向ける政策を引き続き実施し、車両購入税による支出を農村に振り向ける割合を引き上げる。土地譲渡による収入で土地収用や家屋立退き補償金を全額支給することを確保したうえで、その重点を社会主義新農村の建設に傾斜させ、農業の土地開発と農村のインフラ施設整備に振り向ける割合を逐次引き上げる。二、農業助成金の増加の度合を大きくする。中央財政は優良品種作付補助金と農機具購入補助金としてそれぞれ五五億七○○○万元、一二億元を計上し、二○○六年度よりそれぞれ一四億二○○○万元増、六億元増としたうえで、補助関係政策と方式を科学的に改善する。穀物作付直接補助、農業生産財総合的直接補助の方法をさらに完備させ、食糧総合補助制度の確立を模索する。食糧の最低買付価格政策を実施し、健全化させ、農民の穀物作付の収益を安定させる。三、全国範囲での農村最低生活保障制度の整備をバックアップする。中央財政は農村最低生活保障補助支出として三○億元を計上し、すでにこの制度を打ち立てた地区ではその充実化を励まし、まだこの制度を打ち立てていない地区ではこの制度づくりを積極的に探求することをサポートする。各地区は地元の経済発展水準と財力の可能性に応じて最低保障の適用範囲、基準を定め、中央財政は財政難を抱えている地区に適切に補助を与える。四、現代農業の建設を促す。生産の発展をより際立った位置に据える。中央財政は農業技術普及経費として五億元を計上する。テスト補助金として九億元を計上し、土壌の測定を行って化学肥料を調合し、施肥することをサポートする。補助資金として三億元を計上し、農業の産業化と農産物加工業の発展を促進する。農業総合開発支出を一一五億元計上するとともに、地方財政と社会資金の投下を誘導し、農業総合生産能力と農業総合効益の向上に力を入れる。補助資金として一○億元を計上し、「民営・公的扶助」メカニズムの完備化にあて、小型農地水利施設の建設をバックアップする。牧畜業の健全な発展を助成し、農業構造の調整を推し進める。経費一一億元を計上し、農村の労働力移転・職業訓練、新しいタイプの農民科学技術技能訓練の援助にあて、農業経営者の資質を向上させる。五、農村総合改革テストの範囲を拡大する。条件の整った地方は省全域で農村総合改革テストを展開することを奨励し、暫時条件が整っていない地方でも市、県範囲の改革テストを拡大すべきである。農村の債務を真剣に整理、解消し、郷・村の債務解消のテスト範囲を拡大し、インセンティブ・メカニズムと制約メカニズムを打ち立て、農村義務教育など公益事業を立ち上げる際に生まれた債務を優先的に解消する。国有農場向けの租税・費用改革政策を全面的に実施に移す。六、財政による貧困脱却扶助開発メカニズムを刷新する。貧困脱却扶助資金として一四四億元を計上し、前年度より七億元増とする。貧困村の村レベル発展・互助資金テストの経験を総括し、充実化させ、業績志向の貧困扶助資金分配インセンティブ・メカニズム、貧困県動的認定メカニズムを積極的に模索、形成し、貧困扶助開発の成果を向上させる。七、農村文化事業の発展をサポートする。中央財政は文化・スポーツとマスコミへの支出として一七三億元を計上し、二○○六年より四七億一三○○万元増やし、三七・四%増とする。資金二五億元を計上し、ラジオやテレビを各村に普及させるプロジェクトの加速化にあて、中央ラジオ・テレビ番組の無線伝送カバー率を着実に引き上げ、農民大衆が「ラジオやテレビを視聴できない」問題の解決を援助する。農村の末端を重点に、全国の文化情報リソース共有化プロジェクトと農村の映画デジタル化を鋭意推し進める。八、農村金融体制改革の深化を促進する。中央財政はテスト地区における農村信用協同組合のインフレプルーフ定期預金の利息補填金一九億五六○○万元を計上し、農村信用協同組合の改革の深化をサポートする。農業保険費補助金一○億元を計上し、農業保険基盤がかなり整っている一部の農業主産省を選び、政策的農業保険テストの展開をサポートする。それと同時に、農業助成金の統合の度合いを大きくし、政府資金の牽引機能を重点的に発揮させ、農民と社会資金が農村建設に投入されるよう誘導し、社会主義新農村の建設につながる多元化した安定的投入増加メカニズムの構築を急ぐ。
(三)メカニズムと政策の創造革新に大いに力を入れ、「就学難、学費の高騰」という問題の解決へのサポートに力を入れる。教育は人生行路に影響を及ぼし、幾千幾万世帯に関わり、子々孫々にその恵みがもたらされ、国の未来に繋がっている。二○○七年度、中央財政は教育支出として八五八億五四○○万元を計上し、二○○六年度より二五二億四九○○万元増やし、四一・七%増とする。一、全国範囲で農村義務教育経費保障メカニズムの改革を推し進める。西部地区の改革の成果が定着した状況をふまえ、二○○七年度は中部と東部地区でもこの改革を全面的に推し進め、全国の一億五〇○○万人の農村義務教育段階にある児童・生徒全員に、学費・雑費を免除する政策を実行するとともに、農村義務教育段階の小中学校の公用経費の保障水準を引き上げ、同時に家計困窮の児童・生徒に教科書を無料で提供し、寄宿生活補助費を与える。それに応じて、中央財政は資金二七九億八○○○万元を計上する。「農村義務教育段階の学校教師職務特設計画」、「新農村の衛生的新学園建設プロジェクト」のテストの展開を引き続きサポートし、都市部義務教育経費保障メカニズムの実施案をつっこんで検討し、策定する。二、家計困窮学生への学資援助政策メカニズムを全面的に確立し、完備させる。二○○七年度、中央財政は資金九五億一○○○万元を計上し、援助政策による受益範囲の拡大と援助基準の引き上げに用いる。「第十一次五ヵ年計画」期において家計困窮学生向けの系統的、科学的、公平的、効果的な学資援助政策メカニズムを打ち立て、制度の面から、家計困窮児童・生徒が「学費を支払えないため学校に通えない」という問題を基本的に解決し、教育の公平を促進する。それと同時に、政策による方向付けを際立たせ、学資援助の重点を中・西部地区、農村地区、職業教育や国が最も必要としている学科に傾斜させて、教育構造の調整と最適化を促し、社会の必要とする多元的な適格労働者を育成し、就業を誘導、促進し、「狭き門に誰も彼もが殺到する」傾向を回避する。上記の政策を全面的に実施し、メカニズムを完備させることは、わが国がすでに義務教育という基礎段階と家計困窮学生という貧困層から着手し、比較的整った財政保障政策体系枠組の構築をスタートさせ、「就学難、学費高騰」という際立った問題のより効果的な解決に取り込んでいることを示している。さらに中央財政は職業教育の発展と高等教育の質的向上支援にも大きな力を入れることになる。
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