土地を節約し、またそれを集約的に利用することは、当面の経済社会の発展だけではなく、国の長期的利益と民族の生存の根幹に関る問題である。土地の問題において、われわれは取り返しのつかない歴史的な誤りを決して犯してはならず、後世の子孫にに災禍を残してはならない。全国の耕地面積が一億二○○○万ヘクタールを下回ってはならないという「警戒ライン」を必ず守らなければならない。最も厳しい土地管理制度を断固として実行する。一、土地利用の総体的企画と年度計画を真剣に実施すること。建設に伴う土地収用の規模を断固規制し、耕地、とりわけ基本農地の保護を強化し、勝手に農地を建設用地に転化することを禁じる。禁止類や制限類に属するプロジェクトの用地に関する新規改正の規定を真剣に実施し、わけても別荘類不動産の開発、ゴルフ場の建設、党・政府機関及び国有企業・事業体による研修センターなどの新規建設に伴う土地収用を禁じる。二、土地の節約と集約的利用に関する基準の整備を急ぎ、それを厳格に実施すること。農村部の集団建設用地や住宅用地も含め、土地の利用にあたってはいずれも増加分の規制と保有分の活用に取り組み、土地利用の効率と集約化の度合を高めなければならない。三、工業用地を確実に規制し、工業用地譲渡の最低価格基準を断固として執行すること。四、建設用地に関する租税・費用政策を実施し、土地の譲渡に関わる収支管理を規範化させ、国有土地使用権の譲渡で得た収支額をすべて地方予算に組み入れるという規定を確実に執行する。五、土地管理責任制を厳格にすること。土地の監督・査察制度を確実に実行し、さまざまな法律法規違反の案件を厳しく取り調べ、処分する。
すべての企業、村落、部門及び社会構成員全体が自らすすんで資源節約、環境保護に取り組むよう、社会全体で節約、環境保護、文明を旨とする生産パターン、消費パターンを提唱し、資源節約型、環境にやさしい社会の構築に努める。
(四)産業構造の高度化と自主的創造革新のテンポを速める
新しいタイプの工業化の道を歩むことを堅持し、産業構造の最適化に力を入れる。重点としては、サービス業を大いに発展させ、工業のグレード・アップとレベル・アップをはかり、国民経済と社会の情報化を引き続き推し進めることである。体制の改革、資金投下の増加と経済政策の充実化などを行うことにより、サービス業の急速な発展を奨励し、サポートする。とりわけ物流、金融、情報、コンサルティング、観光、コミュニティーサービスなどの現代サービス業を発展させるべきである。わが国工業の総体的規模はすでにかなりの大きさになっているが、産業グレードと技術レベルがまだ高くないので、規模の大きい工業から実力をもつ工業への転換を促すことが差し迫った任務のひとつとなっている。ハイテク産業の発展を加速し、装置製造業の振興をはかり、再生可能エネルギーを積極的に発展させ、代替エネルギーを秩序よく発展させ、先進技術を広範に応用して在来産業を改造し、高度化させるべきである。生産能力が過剰となっている業種の調整を速める。産業構造の最適化の過程において、経済、法的手段の活用を重視し、産業企画と政策の誘導を強化する。
創造革新型の国づくりをめぐっては、国家中長期科学・技術発展計画要綱で提出された目標と任務を着実に実施する。国の重大科学技術特別プロジェクトを実施し、国の経済、民生、また国家安全に関わる一群の肝要で中核的な技術の難関突破に努め、重点プロジェクトに依拠して、重要装置製造の自主化を推し進め、優位を占める重点分野において、難関突破の達成に極力努める。基礎研究、先端技術の研究及び社会公益的研究を強化する。企業を主体とし、市場を導きとする、産・学・研を結合させた技術創造革新体系の構築を加速する。自主的創造革新のインセンティブメカニズムを完全なものにし、自主的創造革新を奨励し、サポートする財政・租税政策、金融政策及び政府統一調達制度を徹底させる。ベンチャービジネスを鋭意発展させる。国家知的財産権戦略の策定を急ぎ、それを実施し、知的財産権の保護を着実に強化する。「全人民科学資質行動計画」を引き続き実施する。
(五)地域間のバランスのとれた発展を一段と推し進める
各方面に配慮し、合理的に計画し、優位性を発揮させ、政策を徹底させ、地域間のバランスのとれた発展を促す。引き続き西部大開発を推し進め、インフラ施設、生態環境整備の強化及び科学技術教育の発展に重点をおき、特色のある優位産業を発展させる。耕地の林地復元、牧場の草地復元で収めた成果の定着、発展をはかり、その後続政策の制定を急ぐ。引き続き天然林保護、砂漠化対策、石漠化対策などの重点生態プロジェクトを実施する。東北地区など旧工業基地の復興を積極的に推し進め、その重点として工業の構造調整にさらに力を入れ、重要業種・企業の再編、改造に鋭意取り組み、装置製造業、原材料加工業、ハイテク産業、農産物加工業の発展を推進し、商品食糧基地の整備を強化する。資源枯渇型都市の経済パターン転換の試行と採炭による地盤沈下区域の対策を急ぐ。バラック密集地区の改造を急ぐ。中部地区では、重点として食糧主産地の生産能力向上と農産物の加工・転化能力の強化を続行し、エネルギー、重要原材料基地と総合交通運輸システムの建設を強化し、先進的な製造業とハイテク産業の発展をサポートする。東部地区では、重点として産業構造の最適化と高度化を推進し、自主的創造革新能力と国際競争力を強化し、改革開放と科学発展の面で先を行くことである。経済特別区、上海浦東新区の役割を引き続き発揮させ、天津浜海新区など条件の整った地区の開発、開放を推し進める。
未発達地区へのサポートの度合いを大きくし、未発達地区に対する発達地区の地域別部門別の支援活動を奨励し、もとの革命根拠地、民族地区、辺境地区、貧困地区の経済社会の発展を促す。三峡ダム地区の発展と住民の移転作業を首尾よく進める。
四、社会主義調和社会の構築を推し進める
社会が調和を保って安定し、国民が安心して暮らしながら生業に励むこと、これは広範な人民の共通の願いであり、政府活動の重要な任務でもある。今年は党の第十六期六中全会の精神を真剣に貫き、より強力な措置をとって、社会主義調和社会の構築に向けて重要な一歩を踏み出さなければならない。
(一)教育、医療衛生、文化、スポーツなど社会諸事業の発展を速める
教育は国の発展の礎石であって、教育面の公平は重要な社会公平につながるものである。教育の発展を優先させるという戦略的位置付けを堅持し、各クラス各種の教育の発展を急ぐ。その全般的な配置は下記の通りである。義務教育を普及し、それを定着させ、職業教育の発展を速め、高等教育の質的向上に力を注ぐ。今年は、全国の農村で義務教育段階における児童・生徒の学費・雑費をすべて免除するが、これは農村における一億五〇〇〇万の児童・生徒の家庭の経済的負担をあまねく軽減することになろう。ひきつづき農村の貧困家庭の児童・生徒に無料で教科書を配布するとともに寄宿生活補助費を支給する。農村義務教育経費保障メカニズムを健全なものにし、保障レベルを絶えず引き上げる。今年、農村義務教育に振り向けられる全国の財政経費は二二三五億元で、昨年より三九五億元増えた。「第十一次五ヵ年計画」期において、中央財政は一〇〇億元を投入して、農村中学校の改造計画を実施し、地方政府もそれに応じてこの面への投入を増やすこととする。それと同時に、ひきつづき都市部における貧困家庭と農民就労者の義務教育適齢期の児童の就学問題を上手に解決する。今年はまた、西部地区における「二つの基本」のブレーク・スルー・プランと農村における小中学校現代遠隔教育プロジェクトを全面的に完遂させることを確保する。すべての児童が学校に通え、きちんと学べるようにする、という目標は必ず実現されるであろう。職業教育の発展を重点に位置付け、まさに教育を社会全体に向けさせるべきであるが、これは重要かつ大きな変革であり、歴史的任務でもある。中等職業教育の発展を重点におき、都市・農村をカバーする職業教育と研修ネットワークの健全化をはかる。職業教育管理体制の改革を深め、業界、企業、学校がともに参与するメカニズムを確立し、働きながら勉強し、学校と企業の提携による学校運営モデルを推進する。高等教育については、質的向上を中核とし、教育・教学の改革テンポを速め、学生募集規模を相対的に安定させ、ハイレベルの学科と大学の整備を強化し、人材養成モデルを革新し、人材養成構造を最適化し、抜きん出た人材を数多く養成するよう努める。民営教育の発展をサポートし、規範化させ、民間の力で学校を運営しようという意欲を引き出す。
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