昨年、わが国の一部地区は、歴史上まれに見る超大型台風や甚大な干害などひどい自然災害に見舞われた。われわれはいちはやく災害対策に乗り出し、災害救援と災害復旧の活動を強めた。通年で中央財政は、災害対策資金として一一二億元を地方に交付し、また一部の災害救援補助基準を引き上げて、被災者の暮らしと仕事に支障が出ないように手配している。
(七)民主法制の建設は引き続き強化されている。末端における民主政治の建設が絶えず推し進められている。政府の立法作業はさらに強化された。国務院は、『企業所得税法(草案)』、『独占禁止法(草案)』、『突発性事件対処法(草案)』『義務教育法改正案(草案)』など七つの法律議案を全国人民代表大会常務委員会に上程し、その審議を求めたほか、『エイズ予防・治療条例』、『外資系銀行管理条例』など二九の行政法規を公布した。政府の法制化のペースを速め、『行政許認可法』、『公務員法』、『法に基づく行政実施の全面的推進要綱』の貫徹を着実に進めてきた。監察や会計検査、監督の仕事にいっそう力を入れた。司法の行政体制およびその活動メカニズムの改革が着実に推し進められている。投書・陳情受理の仕事が強化された。社会の治安防犯・抑制システムは絶えず充実化し、安心・安定・安全を創出する活動が広範囲にわたって進められている。治安の乱れた地域と特に際立った治安問題に対する集中的取締りは、顕著な成果をあげた。廉潔政治づくりと反腐敗闘争を掘り下げて推進し、商業贈収賄の撲滅を狙った特別作業を繰り広げ、政府機関及びその公務員に関わる相当数の重大案件をきびしく摘発した上で、法に則り一群の腐敗分子を懲罰した。
民族、宗教、香港・マカオ、台湾とかかわりのある仕事や華僑事務がさらに強化された。国防と軍隊の現代化建設に新たな進展がみられた。外交活動では著しい成果をあげた。
われわれの実践の経験を総括してみると、次のように要約することができよう。すなわち、思想を解放し、実事求是の姿勢で臨み、時代とともに前進し、開拓と革新を図りながら、中国の特色をもつ社会主義の道を揺るぐことなく歩み続け、改革開放を堅持し、科学的で、調和のとれた平和的発展を堅持してこそ、はじめて現代化という偉大な目標を最終的に実現することができる、というものである。
われわれの収めた成果は、胡錦濤同志を総書記とする党中央が全局を統轄し、正しく指導を行ったたまものであり、全国の広範な幹部、大衆が一丸となって努力し、粘り強く戦ってきたたまものである。わたくしは国務院を代表して、全国各民族人民、各民主党派、各人民団体および各界の人びとに、心から感謝の意を表すものである。香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞および台湾同胞、並びに広範な在外華僑同胞に、また中国の現代化建設に関心を示し、後押ししてくれている各国の友人の皆さんに、心から感謝の意を表すものである。
われわれはまた、経済・社会の発展になお少なからぬ矛盾と問題が存在し、政府の活動にも一部欠点や不備な点があることを冷静に見て取っている。
第一に、経済構造の面の矛盾が浮き彫りになってきていること。第一、第二、第三次産業のウェートが不合理で、都市と農村の間や地域間の発展にバラツキが見られ、投資と消費の関係のバランスが取れていない。農業については、その基盤の脆弱な状態がまだ改められておらず、食糧の安定した増産と農民の持続的収入増が難しさを増している。固定資産投資の総規模が依然として肥大化しており、銀行資金の流動性過剰問題が目立っているため、投資の過度な伸びや、過大な信用貸付を誘発する要因が今なお存在している。対外貿易の黒字は比較的大きく、国際収支のアンバランスという矛盾が深刻化している。
第二に、経済成長パターンが粗放型であること。それはエネルギーの大量消費と深刻な環境汚染に著しく現れている。「第十一次五ヵ年計画」は省エネ・原材料消費と汚染物質排出の削減目標を打ち出し、さらにそれを拘束性指標として定めた。これは経済成長パターンの転換、省エネ・環境保護事業の強化にとって、非常に重要な意義をもつことである。ここ一年、各地方、各部門は多くの取り組みを行ない、積極的な進展を遂げた。二〇〇六年、GDPのエネルギー消費原単位は、前の三年にはそれぞれ四・九%、五・五%、〇・二%と上昇していたにもかかわらず、一転して一・二%に低減した。主要汚染物質排出総量の増幅は縮小し、化学的酸素要求量(COD)とSO2排出量の上昇率はそれぞれ前年度の五・六%、一三・一%から一・二%、一・八%に低下した。にもかかわらず、昨年の初めに打ち出したGDPのエネルギー消費原単位四%前後、主要汚染物質排出総量二%とする削減目標は達成できなかった。その主な原因は次の通りである。つまり、産業構造の調整がなかなか進まず、重工業、とりわけ大量のエネルギーを消費し、汚染も深刻な業種の拡大が依然としてやや速まっており、さらに淘汰されるべき、相当数の立ち遅れた生産能力が市場に留まったままになり、一部の地方と企業は省エネ・環境保護の法規と基準を厳格に実施しておらず、また関連政策・措置が明らかな成果を収めるにはある程度の期間がかかること、が挙げられる。「第十一次五ヵ年計画」でこの二つの拘束性目標が打ち出されたということは、それが極めて厳粛なものであり、変更してはならず、断固達成しなければならないことを意味している。国務院は今後毎年省エネ・汚染物質排出削減の進捗状況を全国人民代表大会に報告し、さらに「第十一次五ヵ年計画」の期末に、五年間におけるこの二大指標の全般的達成状況について報告しなければならない。
第三に、大衆の利益にかかわる目立った問題の解決が不十分であること。食品・医薬品の安全や医療衛生サービス、教育にかかわる費用徴収、所得分配、社会の治安、安全生産などの諸分野には、大衆が不満を抱えている問題が残っており、土地収用や家屋立退き、企業の体制転換、環境保護などの諸方面にみられる大衆の利益を侵害する問題が依然として抜本的に解決されていない。なお、相当数の低所得者層の生活が比較的困窮している。
第四に、政府自体の建設にいくつかの問題が存在していること。政府の機能転換が遅れ、行政と企業が依然として分離されないままで、一部の部門では職責が明確にされておらず、仕事の効率があがっていない。公務による消費も規範化されておらず、贅沢三昧や浪費に走り、行政のコストが高すぎる。さらに、一部の地方や部門および少数の公務員には官僚主義や形式主義が依然として存在し、大衆から遊離し、汚職や背任行為に走り、ひいては権力を乱用したりして、汚職腐敗に手を染めている。こういった問題の根底には制度の不備やそれに対する監督・管理の不行き届きがある。
われわれは国と人民に高度な責任を負うという心構えをもって人民の期待に背かず、より強力な措置を講じることにより、これらの問題を確実に解決していかなければならない。
二、二〇〇七年度の活動の全般的計画
今年は今期政府の任期の最終年に当たり、われわれは意気軒昂として、必ず職責を全うし、額に汗しながら進取し、怠ることなく、全力を挙げて諸般の活動に取り組み、人民に納得の行く回答を出さなければならない。
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